
2024年2月26日(月)19時開演(18:30開場)
会場:すみだトリフォニーホール小ホール
曲目(曲順未定)
- クルターグ:ヘルダーリン歌曲集 Op.35a(1993-97 日本初演) [bar, tb, tub]
- 桑原ゆう:《葉武列土一段》(2024 委嘱初演) [bar]
- クルターグ:カフカ断章 Op.24(1985-86) [sop, vn]
出演:
- 工藤あかね(ソプラノ)
- 松岡麻衣子(ヴァイオリン)
- 松平敬(バリトン)
- 村田厚生(トロンボーン)
- 橋本晋哉(チューバ)
チケット取り扱い:カンフェティ
http://confetti-web.com/ikurugamashika
お問い合わせ:ナヤ・コレクティブ(制作)
nayacollective@icloud.com
「寝た。起きた。寝た。起きた。みじめな人生」 「目的地はあるが、行く道がない」 「ふと気がつくと、左手が右手の指を憐れんで、ずっと握っていた」 etc.
カフカが書き遺した、これらの奇妙で美しい断片を、ソプラノとヴァイオリンのデュオによる40の小品集に仕立て上げたのが、クルターグ『カフカ断章』だ。各曲は短いが、全曲では約1時間を要する凄絶極まりない問題作で、その全曲演奏の機会は決して多くない。
狂気の末、30年以上の後半生を塔の中で過ごしたヘルダーリンによる、謎に満ちた詩に付曲した『ヘルダーリン歌曲集』(全6曲)においても、無伴奏バリトン独唱が、えもいわれぬ閉塞感を表現する(1曲のみ、トロンボーンとチューバが加わる構成も異常だ)。
桑原ゆうの委嘱新作『葉武列土一段』では、かの有名な『ハムレット』からテキストが採られている。ただし、シェークスピアの原文ではなく、外山正一と森鴎外による文語調の日本語訳という、日本の伝統音楽にも造詣の深い桑原らしい、ひねりの効いたチョイスだ。
作曲者、詩人、そして演奏家による、時空を超えた対話をお楽しみいただきたい。
作曲家、演奏家プロフィール:
ジェルジ・クルターグ György Kurtág 作曲
1926年生まれ。本公演の本番日には98歳を迎えている、存命する最高齢世代の作曲家となる。ルーマニアに生まれ、ブダペストにてヴェレシュ、パリにてメシアンらに作曲を学ぶ。その作風は、ウェーベルンの音楽やベケットの戯曲の作風を彷彿とさせる、厳選された音を周到に配した寡黙なものだ。作曲家としての長いキャリアに対して作品数は極めて少なく、「作品1」と銘打ったものは、彼が33歳の時に完成させた『弦楽四重奏曲』であり、現時点での公式な作品は70曲に満たない。彼が90歳を超えた2018年に、オペラ『エンドゲーム』がミラノ・スカラ座にて世界初演されたことも話題を呼んだ。
桑原 ゆう(くわばら・ゆう)作曲
日本の音と言葉を源流から探り、文化の古今と東西をつなぐことを軸に創作を展開。英国Bachtrack「2023年注目の女性作曲家8人」に選出。第31回芥川也寸志サントリー作曲賞受賞。国立劇場、静岡音楽館AOI、ルツェルン音楽祭、アハト・ブリュッケン音楽祭(ケルン)等、国内外で多くの委嘱を受ける。東京藝術大学および同大学大学院修了。楽譜はEdition Gravis(ベルリン)より出版。「淡座」メンバー。国立音楽大学、洗足学園音楽大学非常勤講師。https://3shimai.com/yu/
工藤あかね(くどう・あかね)ソプラノ
東京藝術大学卒業。サントリー芸術財団「サマーフェスティバル」「Tokyo experimental festival」「Tête à Tête The Opera Festival(ロンドン)」「MFJ音楽祭(ニューヨーク)」などに古楽からオぺラ、現代音楽に至る作品で出演。シェーンベルク/シュタイン編「月に憑かれたピエロ」の世界初録音がレコード芸術にて特選盤。第1回一柳慧コンテンポラリー賞受賞。
松平敬(まつだいら・たかし)バリトン
東京芸術大学卒業、同大学院修了。現代声楽曲のスペシャリストとして、湯浅譲二、西村朗など150作以上の新作を初演。サントリーホール・サマーフェスティバル、新国立劇場などに出演。ソロCDとして3枚のアルバムを、チューバの橋本晋哉氏とのユニット「低音デュオ」名義としても2枚のCDを発表。2019年には著書『シュトックハウゼンのすべて』を出版。平成22年度文化庁芸術祭優秀賞、第32回、第34回ミュージック・ペンクラブ音楽賞を受賞。
松岡 麻衣子(まつおか・まいこ)ヴァイオリン
桐朋学園大学音楽学部演奏学科卒業、同大学研究科修了。アンサンブル・モデルン・アカデミー(フランクフルト音楽・舞台芸術大学)にて研鑽を積み、これまでに様々な現代音楽演奏団体で、世界各地の音楽祭や演奏会に出演。日本現代音楽協会主催演奏コンクール「競楽XI」2位。現代音楽を中心に演奏活動を行い、新作初演に多数携わる。フィディアス・トリオ、アンサンブル・トーンシーク、ルリトラノオ弦楽四重奏団メンバー。現在、東京成徳短期大学非常勤講師。maikomatsuoka.com
村田 厚生(むらた・こうせい)トロンボーン
桐朋学園大学音楽学部卒業。ドイツ学術交流会(DAAD)給費留学生としてベルリン芸術大学卒業。内外の主要な現代音楽祭に出演。モーションセンサーとリアルタイム・エフェクト、またグロボカール作品に焦点をあてたシリーズリサイタルを継続中。ユニット「コンテンポラリー・デュオ 村田厚生&中村和枝」ではドイツ、スイス5都市でリサイタルを行った。桐朋学園芸術短期大学非常勤講師。ウェブサイトwww.sonata.jp
橋本晋哉(はしもと・しんや)チューバ
舞台監督:鈴木英生(カノン工房)
制作:福永綾子(ナヤ・コレクティブ)
協力:モモ・カンパニー
主催:松平敬&工藤あかね
助成: 芸術文化振興基金助成事業、公益財団法人野村財団、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京[東京芸術文化創造発信助成]