『ヒュムネン』では世界各国の国歌が作曲素材として使用されているが、ロシア国歌の使用に関しては特別な処理が行われている。
シュトックハウゼンは原曲のハ長調のハーモニーから、ハンガリー風の音階、全音音階、無調へと和声が変化するようにハーモニー付けを行った。
さらに、これを極端に引き延ばすことにより(♩=24秒〜1.4秒の8段階のテンポを使用)、予備知識のない人にとっては原曲の識別が困難となった。
これは、作曲当時、ソ連国内でシュトックハウゼン作品の演奏が禁止されていることに対する、音楽的な「対抗措置」ともなっている。
以下の音源は、ハーモニーとテンポをシュトックハウゼンの指示をほぼ守って作成したものである。