タリス40声モテットの構造の可視化

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40声という膨大な声部数を使って作曲されたタリスの《Spem in alium》は、各5声部からなる8群の合唱作品です。
各群がどのように表れるかを視覚的に分かりやすくしてみました(上図、クリックで拡大)。
この図をみれば、極めて整然と構成されていることが一目瞭然かと思います。

青っぽい色がポリフォニック、赤っぽい色がホモフォニックな楽想です(ただし厳密には両者の区別は容易ではありません)。後半に2箇所表れるはっきりとした赤っぽい音は、完全にホモフォニックな単一の和音でrespice(思いやってください)という歌詞が歌われる特別な場所で、40声が同時にひとつの和音を歌う効果には絶大なものがあります。

この和音の前を含め、計3箇所ゲネラル・パウゼの箇所がありますが、必ず40声のトゥッティと対置する形で設定されていて、こちらの効果も周到に計算されていることが分かります。

ちなみに、以下の動画は私が一人多重録音したこの作品の音源(2ndアルバム『うたかた』に収録されています)から、最後のトゥッティ部分を、いくつかのパートのまとまりごとに分解したものです。