ブラームスの「ドイツ・レクイエム」、ブラームスらしく極めて理知的に作曲されています。
譜例は、この作品を型作る7つの楽章の調性構造です。白玉が長調、黒玉が短調です。
第1楽章と第7楽章がともにヘ長調である以外は、すべての曲が異なる調性を持っています。
興味深いのが1〜3楽章と4〜6楽章の調性構造の対応。
1〜3楽章のF-B-Dの逆行の反行であるEs-G-Cが4〜6楽章の主音となっています。
そして、この3曲のまとまりの最後には必ずバリトン独唱が加わり、後半に大規模なフーガが用意されていることも共通しています。
多様性と統一感を両立させようとするこうした発想は、シェーンベルクの12音技法に通じるところも感じられます。