シュトックハウゼン・レクチャーの概要と補足

本日のBuncademyでのシュトックハウゼンに関するレクチャー、満席となりました。ご来場いただいた皆様、ありがとうございます。

この種のもので陥りがちなのですが、時間が余ることを恐れて、今回も内容を詰め込みすぎ、かなりの早口であわただしいレクチャーになってしまいました。備忘録の意味も兼ねて簡単に内容をまとめておきます。(一部、レクチャーで触れ切れていないところも補足してあります)

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シュトックハウゼン出版(1975-)は、理想的な形での楽譜の出版、音源の発表の場所として機能している。特に音源は楽譜に書き切れない情報が音声として直接記録されていて、正しい演奏解釈のためには、場合によってはスコアよりも重要視されうるものである(音そのものによる直接的なコミュニケーションの重視)。
シュトックハウゼン講習会(1998-)は、自作の理想的な上演の伝統を後世に残すための理想的な環境である。
特定の演奏家との親密なコラボレーションも、理想的な上演のために必須である。初演に際しては、リハーサルを重ね、楽譜の細部をブラッシュアップをしていく。

シュトックハウゼン作品でもっとも重要視されるべきは音量バランスである。彼の音楽を特徴づける多層的な構造が聴き取れるように、各楽器間の音量バランスには細心の注意が払われるべきで、初演前(場合によっては後年の改訂時)の楽譜の修正の多くはこの点にある。

1950〜60年代には、不確定性を用いた一連の作品群が多く作曲された。
演奏者の創意を生かすことも目論まれたが、概して演奏家の能力を過大視する傾向があり、そうした作品の最初期の試みである『ピアノ曲XI』(1956)で、すでに正確な演奏は困難、後年はあらかじめ固定されたヴァージョンを作成して、それを演奏することを推奨する。いくつかの作品では、不確定な要素を固定した新ヴァージョンが作曲された。(例:3xREFRAIN 2000, MIXTUR 2003, STOP und START)

1965年以降になると、+-などの記譜法でシンプルに書かれ、即興的要素が高まった一連の作品が生まれるが、これらは長期間のコラボレーションを重ねた演奏者の存在を前提として作られている。
短いテキストのみによる直観音楽もこの延長線上にあるが、実はその演奏実践はきわめて具体的である。
一見、神秘的にみえるテキストも具体的な演奏法、音響が想定されていることを、シュトックハウゼン自身の膨大なテキスト、アンサンブルとのリハーサルの記録(未出版)から理解することが出来る。

「私は降霊術をしたいのではない。私は音楽をやりたいのだ!神秘的なことではなく、具体的な体験に基づいた絶対的に直接的なものを求めている。私が心の中に思い描いているのは不確定なものではなく、直観に基づいた確定的なものなのだ!」(1968年のダルムシュタット講習会にて)

ここでも重要視されているのが、各楽器間の音量バランスである。全員が好き勝手に演奏してカオスになるのを防ぐために、ばらばらなタイミングで長い沈黙を置き、全体のサウンドの透明度が高まる工夫が随所になされている。

この試みも、シュトックハウゼンの満足の行く形にはならず、1970年代以降は、ふたたび確定された楽譜による作曲に回帰する。
しかし、シンセサイザーのプログラミングや、管楽器の微分音の指使いなどを演奏者に任せる、など演奏者の創意を生かせる作品もいくつか作曲されている。

作品の演奏に関しては、スコアの厳密な遵守を要求しているが、機械のように画一的に演奏することを求めているのではなく、スコアの厳密な再現からすらも通過する演奏者の個性の表出は、むしろ好んでいる。
また。クリックトラックは必ず自分の肉声でカウントしたり、多少不正確なリアリゼーション(TELEMUSIK)であってもそれを許容することがあるなど、アナログ的な感性を重視する側面もある。

これから1週間の予定

明日から1週間の予定をまとめます。
なぜか、局地的に全く違う仕事が重なって若干混乱気味ですが。。

 

まずは、私が指導している合唱団の本番。
私の編曲した童謡、映画音楽のステージ、大場陽子さんの『お豆の物語』合唱版、全曲初演など。

バローロ混声合唱団第7回定期演奏会
2015/10/24(土)13時開演
紀尾井ホール
指揮:松平敬 ピアノ:砂川京子 ソプラノ独唱:工藤あかね

 

続いて、コンクールの演奏審査です。
もちろん、私がコンクールに応募したのではなく、本選に残った曲の演奏を担当します。
声楽パートは超絶に難しいのですが、さてその結果は?

第84回日本音楽コンクール作曲部門・本選会
2015/10/26(月)17時開演
東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル
演奏:板倉康明指揮 東京シンフォニエッタ

 

その翌日は、インターネット放送によるライヴです。
ソロ・パフォーマンスですが、色々と仕掛けを作っています。

MUSICSHARE#41
2015.10.27(火) 20:00~21:30
■ゲスト■:
松平敬 / ハチスノイト
司会: 本田みちよ / Yuqi (UQiYO)

視聴サイト

 

そして、こちらはレクチャー。
シュトックハウゼンとその演奏について様々な視点から考察します。

Buncademy2015年度後期特別企画
『シュトックハウゼン作品の演奏解釈』

【日 時】 2015年10月31日(土)14:00-16:00 (開場 13:30)
【会 場】 BUNCADEMY
【講師】松平敬
【受講料】 2,000円(学生1,500円)※ 先着20名
【ご予約・お問い合わせ】 info@buncademy.co.jp
チラシ(PDF)

西村朗:猫町

12/14のリサイタルのために委嘱した、西村朗さんの新作『猫町』が完成しました。

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リサイタルのチラシはこちらです。

2015リサイタルチラシ表

チケットはこちらからお求めになれます。

低音デュオ・ミニライブ&サイン会、ご来場ありがとうございました。

昨日27日、タワーレコード渋谷店にて低音デュオのミニライブ&サイン会が行われました。
ご来場頂いた皆様、ありがとうございました。

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低音デュオのアルバム『ローテーション』も引き続きよろしくお願いします。

低音デュオ・ミニライブ&サイン会

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低音デュオ 「ローテーション」リリース記念
ミニライブ&サイン会

2015年9月27日(日) 15:00
タワーレコード渋谷店 7Fイベントスペース
観覧無料

出演:松平敬(声/バリトン)橋本晋哉(チューバ、セルパン)
ゲスト:山根明季子(作曲家)

低音デュオのCD「ローテーション」のリリースを記念して、タワーレコード渋谷店にてミニ・ライヴ&サイン会を行います。アルバムに収録した『水玉コレクションNo.12』の作曲家、山根明季子さんもゲストとしてイベントに参加されます。

観覧無料ですので、お気軽にお立ち寄り下さい!

シュトックハウゼン『シュティムング』公演終演

1ヶ月に及ぶ集中的なリハーサルの成果を、満席のお客様に届けることができました。ご来場下さった皆様、関係者の皆様にお礼申し上げます。

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©サントリー芸術財団

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STIMMUNGスコア最終ページ

シュトックハウゼン『シュティムング』リハーサル

サントリー芸術財団サマーフェスティバルで8月29日に演奏されるシュトックハウゼン『シュティムング』のリハーサルが連日行われています。倍音唱法、演奏者同士でサインを出しあって演奏内容を変更していく特殊なスコアのため、1ヶ月弱の集中的なリハーサルが設定され、ようやく折り返し地点に到達しました。特殊な楽譜の読み方を正確に把握するために、全曲を練習するのに当初は3日間を要しましたが、ようやく全曲を通すことができる段階にまで達しました。これからは、細部を磨き上げ、より高い完成度を目指さなくてはなりません。

8/29(土)シュティムング~内観する声ひとつ

19:00[開場18:30]プルーローズ(小ホール)
■シュトックハウゼン(1928-2007):シュティムング(1968)パリ版

音楽監督:ユーリア・ミハーイ
ソプラノ:工藤あかね、ユーリア・ミハーイ
アルト:太田真紀
テノール:金沢青児、山枡信明
バス:松平 敬
音響:有馬純寿

リンク:サントリー芸術財団の公式サイト

(前売り券はすでに売り切れですが、当日券が出る可能性があります)

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低音デュオ1stアルバム予約受付中

チューバの橋本晋哉さんとのユニット、低音デュオの1stアルバム『ROTATION』は8月7日に発売予定です。amazonなどでも予約ができるようになっています(上記画像をクリックして下さい)。
アルバムやジャケットの編集も終わり、あとは現物の仕上がりを待つのみとなっています。

ヘビロテ必至の内容となっていますので、皆さんお楽しみに!

湯浅譲二『天気予報所見』演奏動画

演奏:低音デュオ(松平敬、橋本晋哉)

3月の低音デュオのコンサートからの動画です。
使用されているテキストは湯浅氏が作曲当時住んでいたカリフォルニアの天気予報の記事(英語)ですが、英語を解さない人にも音楽とテキストの不一致による奇妙な効果をお楽しみ頂けるよう、日本語字幕をつけてみました。

シュトックハウゼン『ヒュムネン』でのロシア国歌の編曲

シュトックハウゼン『ヒュムネン』でのロシア国歌の編曲の音源をアップしました。ハ長調から無調へと変化する奇怪な和声進行が聞き物です。

『ヒュムネン』におけるロシア国歌の編曲

参考動画:ロシア国歌(原曲)