Karlheinz Stockhausen: AM HIMMEL WANDRE ICH [楽曲解説]

 1972年、シュトックハウゼンは、14の部屋で様々な音楽イベントが同時に演奏されるインスタレーション的な作品《リエージュのためのアルファベット》を作曲した。そこに含まれる、二人の歌手のための《AM HIMMEL WANDRE ICH 私は空を散歩する》は、独立した作品としても上演可能である。
 アメリカン・インディアンに伝わる詩や祈りのことば(の英訳)から12のテキストが選ばれ、それらが、意味を持たない音素、演奏者によって任意に選ばれる名前の呼びかけなどと組み合わされる。それぞれのテキストは、夢、愛、死、幻視などの異なる雰囲気を持ち、楽譜にも詳細に指示された演劇的な要素と結びつく事により、作品全体が一種の神秘的な儀式のように演じられることになる。
 演奏時間約50分の全曲の旋律素材は、12音のピッチのセリーから導き出される。1曲目はその冒頭の1音のみ、2曲目ははじめの2音のみ、などと1曲ごとに構成音を増し、最後の12曲目でセリーの全体が使用される。それぞれの曲で新たに加わったピッチが、そこでの中心音としての役割をはたすことにより、このセリーが長大な作品の全体構造をも規定する事になる。最低音の第1音から最高音の第12音へと、うねるように上昇していくこのセリーは、テキストの内容とも連関して、全曲にわたって螺旋を描きながら昇天していくかのような印象を与える。

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このページは、takashiが2009年3月10日 23:25に書いたブログ記事です。

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