シュトックハウゼン来日レポートの最近のブログ記事

SPA!の7/26号にシュトックハウゼン来日公演の記事がのっています。この記事を書いたのは、来日公演で奇声を上げながら感激していた中原昌也氏です。
1ページ(カラー)のみの記事ですけど、このような大衆紙にシュトックハウゼンに関する記事がのるのは何だか変な気分です。

内容は特に目新しいものはありませんでしたが、記者会見でのシュトックハウゼンの発言が紹介されていたので以下に引用します。(カッコ内は私による補足です)

「(近年、興味のある音楽は)ありません。」
「今年の4月にグラスゴーで開催されたフェスティバルに招かれました。出演者はロックやテクノやヒップホップというジャンルの音楽家ばかりで、クラシックの分野から参加したのは私だけでした。そこで私は電子音楽を披露したのですが、会場は満席で、みなさん大変に熱狂的な反応を湿してくださった。クラシックの演奏現場では体験したことのないものでした。その際に若い世代に非常に強い影響を与えているということを肌で感じとることができました」(引用おわり)

中原氏による「シュトックハウゼン必聴作品」と題された簡単なアルバム紹介のコーナーもありましたが、「少年の歌」「コンタクテ」「ミクロフォニー」「ヒュムネン」「トランス」「シリウス」「ヘリコプター弦楽四重奏曲」が紹介されていました。
後半のラインナップが「らしいな」と感じました(笑

早いものでシュトックハウゼン来日公演から一ヶ月が経ちましたが、あちこちのサイトで感想やらレポートやらアップされてますのですでに紹介したものも含めて以下にまとめておきます。いくつかのブログにはトラックバックもさせてもらいました。

続・Yum Blogs -- 祭 最終日
mhrs: 巨匠2
WORD!! -- シュトックハウゼン
舞台批評 -- シュトックハウゼン@アートスフ
td-d2(仮) -- シュトックハウゼン / 《リヒト=ビルダー(光=イメージ)》
関心空間 -- シュトックハウゼン「リヒト=ビルダー」
Cafe Carrefour 日々の破片(かけら) -- 日々の足あと〜シュトックハウゼン
FREITAG log -- シュトックハウゼン来日記念演奏会感想
怪しくも快く -- 第21回 <東京の夏>音楽祭2005
the electreal -- シュトックハウゼンとプリゴジンと創世記
smacks dialy -- 巨匠シュトックハウゼンとその音楽
おまえにハートブレイク☆オーバードライブ -- これがシュトックハウゼンのサインだ!
casino della coltura
JAZZ TOKYO -- 永遠の光に"耳”がふれて・・・シュトックハウゼンの宇宙
パザ日誌 -- シュトックハウゼン・イン・トキオ
はやしのブログ -- シュトックハウゼン


ついでに拙ブログの関連記事も以下からまとめて読めます。

シュトックハウゼン来日レポート@KLANG Weblog

上記のフレーズをタイトルとしたシュトックハウゼン来日公演のレポートを発見しました。

こちらのリンクよりご覧下さい。

http://www.jazztokyo.com/horiuti/v5/v5-1.html

特にLICHT-BILDERに関しては先入観と偏見に満ちたトンチンカンな批判も数多く見られますが、この記事を執筆した堀内氏はシュトックハウゼンにおける作曲や演奏の特質、問題点などを非常に的確に指摘していて、シュトックハウゼンに対する「下らない」としかいいようのないつまらない誤解が解け、まともに論評されるようになってきたな、と嬉しくこの記事を読みました。

例えば堀内氏は

「ここまでくると、シュトックハウゼンの作品が「神聖な儀式である」という認識を共有することは、演奏家ばかりでなく、聴衆の側にとっても必要条件として逃れ難いのではないかとさえ感じられる。つまり、肉体的・精神的な準備が不充分なまま作品と向き合ったとしても、作曲者・演奏者の発信する世界を捉えるどころか、聴く側の誤解と思い込みに終始するしかないと思われてくるのである。」

と書いていますが、これは私がたびたび、シュトックハウゼンの作品をきちんと理解するためには何十回と繰り返し聞く必要がある、と書いていることと通じます。どうせシュトックハウゼンの近作はつまらないだろう、という先入観を持って、大した事前の「準備」もせずにLICHT-BILDERを聞いたところで、あの作品の百分の一も理解できないのは当然ですが、少なからぬ人々がそうした前提からトンチンカンな批判を繰り広げているのに対して、堀内氏がそうした先入観と無関係に的確にポイントを押さえているところに、深く印象づけられました。

シュトックハウゼンは毎年の講習会のモットーとして「○○して学習」のような文章を毎回書いていますが、作曲、演奏、聴取のすべてにおいて努力したり学習したりすることの重要さを強く認識していることがここにも表れています。
LICHTER-WASSERをのぞく「日曜日」の各場面のCDには本編に加えて、特定のパートを抜き出したり、本来必須の電子変調を省略した「学習用」のミックスも付録として併録し、HOCH-ZEITENに至っては本編とは別売りで学習用の3枚組のCDを2種発売している位ですが、裏を返せば、それくらい細かく聴きこなさないと作品を完全に理解できない、ということを表しています。

もっともシュトックハウゼンは自分の新作が簡単に理解されないのは「少年の歌」を発表したはるか昔から同じことなので、ほとんど気に留めてはいないようではあります。

来日公演の最終日を飾ったのは「光」の最終章「日曜日」からの2つの場面LICHT-BILDERとENGEL-PROZESSIONENでした。LICHT-BILDERについては何度も書いてあるとおり素晴らしい作品、素晴らしい演奏でしたが、ENGEL-PROZESSIONENの8チャンネル・テープによる上演も非常に美しいものでした。完璧に録音されミックスされたものですから、「テープ上演」という代替上演的なイメージとはかけ離れた素晴らしい演奏でした。昨年のキュルテンでの講習会でも同様の形で上演されたのを聞きましたが、そのときよりもさらにサウンドが良く感じられました。オリジナルはアカペラの合唱曲ですが、特殊唱法を多用しているので一種の電子音楽としての聴取も可能です。そのようにとらえると、2日前に演奏された今や古典となった「少年の歌」とのつながりも強く感じることが出来ます。「少年の歌」では少年の声に加えて電子音を加えていたところを、ENGEL-PROZESSIONENでは非常に洗練された特殊唱法を使っています。声の持つ音色の多様性の探求の結果がこうしたサウンドの選び方に反映しているのでしょう。

相変わらずすきま風の音が気になりましたが、シュトックハウゼンの近作の美しさに素直に感動しました。

本日も相変わらずのスタンディング・オベーションで、企画をしたアリオン音楽財団の皆さまも安心していることと思います。
終演後は1時間近く多くのファンのサインに応えたり、プレゼントを受け取ったりと、「まめ」なところを見せていました。

シュトックハウゼンも何人かのファンに言っていたとおり、毎夏に行われているシュトックハウゼン講習会に参加するとこの様な体験をいつでもする事が出来ます。
演奏家、作曲家だけでなく一般の愛好家も大歓迎の講習会ですから、シュトックハウゼンの音楽を愛する人は一度参加してみてはいかがでしょうか?
きっと素晴らしい思い出になると思います。

今日はLICHT-BILDERとコンタクテでした。

初日からLICHT-BILDERを聞き続けている人は、この作品の聞き所が分かってきたのか、反応が初日から比べて次第に良くなってきた感じがします。昨日はリハの疲れや日本の聴衆が受け入れてくれるかどうかという不安からか、やや演奏に緊張したところも若干ありましたが(それでも恐ろしくレベルの高い演奏であることには間違いありませんけど)、今日はよりリラックスしてより集中した演奏で終演後フベルト・マイヤーが今日の演奏は今までのベストだとシュトックハウゼンから絶賛されたと話していました。

コンタクテは生楽器のつかない電子音楽のみの版での上演ですが、低音から高音まで音像が非常にすっきりとしていて、この長大な作品の面白さを堪能することが出来ました。わずかなすきま風の音や重低音が少しどこかに共振している音が聞こえたのが残念ですけど、かなりサウンドは良かったと言えると思います。

例によってスタンディング・オベーションの嵐ですが、昨日よりもさらに聴衆のテンションが高くさながらロックコンサートのようなノリでした。シュトックハウゼンもさすがにご満悦で2,3階のバルコニー席のお客さんにも手を振り、お客さんも大喜びで手を振り返す熱狂ぶりでした。

前半の演奏者は、後半シュトックハウゼンの席の近くに座って音楽を聴いているので、多くのお客さんがシュトックハウゼンだけでなく演奏者にも声を掛ける姿が多く見受けられました。
作曲者、演奏者、聴衆が一体になったすばらしいコンサートになったと思います。

さて、明日はいよいよ最終日です。

本日はLICHT-BILDER、「少年の歌」「テレムジーク」というプログラムでした。

LICHT-BILDERの午前中のゲネプロを見学させてもらいましたが、かなりの完成度の高さに達しているにも関わらず、あいかわらず大量なダメ出しをしていてこの巨匠の妥協の無さを改めて感じました。
後半の「少年の歌」「テレムジーク」といったもはや古典となっている名作が評判がいいのは当然としても、一度聞いただけでとても完全に理解できるとは思えない複雑な作品LICHT-BILDERに対する反応も決して悪くなかったと思います。

バルコニー席のある会場の作りはあまりマルチ・チャンネルに向いていないのですが、スピーカーを各階に配置するなど事前にいろいろと細工をすることによってあまり良くない席でもそれなりに聞こえるようには工夫していました。

開場したらいきなりシュトックハウゼンが客席中央のミキサーの前に普通に座っている様子に多くのお客さんがびっくりしていましたし(彼のコンサートではそれが普通なんですけど)、演奏直前に物音を立て続けてシュトックハウゼンがなかなか演奏開始のキューを出せなかったトラブルもありましたけど(本番明かりになって演奏開始まで異様に長い沈黙がありました)、最後の「テレムジーク」が終わるとスタンディング・オヴェーションとなる異様な盛り上がりとなり、シュトックハウゼン本人もかなり嬉しかったようです。

終演後ミキサー席でオタク集団(?)に取り囲まれても。いやな顔せずサインに応じていましたが(これもいつものことです)、意外にフレンドリーなシュトックハウゼンの一面を感じることが出来たのではないでしょうか。

ちなみにこの日のゲネプロと本番の間に、新宿で観光をしたい、というシンセのアントニオやアシスタント・エンジニアのイーゴルらを案内しましたが、連日のハード・スケジュールにも関わらず超ハイテンションで、新宿のタワレコのシュトックハウゼン・コーナーに押し掛けたり都庁の展望台に上ったりと、色々と楽しんでもらえたようです。

シュトックハウゼン来日公演の初日である、LICHT-BILDERに関する、レクチャーに行ってきました。
40分の大作のレクチャーなので細かくアナリーゼをしてしまうと、2時間の枠にとても収まり切るはずもなく(シュトックハウゼン講習会なら1週間かけるところです)、細かい説明は割愛しての実演を交えた作品の概要の説明という形式でした。途中で簡単なシュトックハウゼンの説明を交えながらも、実質的にはLICHT-BILDERの全体を演奏する形になりました。CDで聞くよりもリング・モジュレーションの効果が立体的に聞こえ、演奏者の発する音と肉体的な動きの関係(これも詳細にスコアに記されています)もはっきりと理解できました。

後半は質疑応答コーナーでしたが、始めはシュトックハウゼンの激怒を恐れてか(笑)、遠慮がちだったお客さんも、シュトックハウゼンの誠実で時々ユーモアも交えた回答を聞く内に場の雰囲気も打ち解けてきて、多くの人が手を挙げ、すべての質問を受け付けられないほどになりました。
中には、とんちんかんな質問もありましたけど、全体的には良い雰囲気で、一日こうした企画を設けて正解だったと思います。

御大は時差ボケがひどいらしく、あまり眠れていない、と言っていましたが、非常に元気で安心しました。

ちなみに、ロビーでCD、スコアの販売もありましたけど、巨大なスコアが高いのは仕方ないとしても、CDは本来ならもう少し安くなるはずのところが、色々な兼ね合いからタワーレコードやHMVなどと比べて露骨に安い設定にはできなかったようで少し残念です。

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