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ここ
iconです(要iTunes)。
もちろん30秒間試聴しても何も聴こえません。

各楽章が150円ずつで、全3楽章をまとめて購入すると300円です。。。

一昨日のケージ企画、満席のお客様をお迎えして無事終了しました。
ご来場の皆様ありがとうございました。

足立智美、さがゆき、今井和雄各氏の凄まじく個性的な音楽性と共演するのは刺激的でしたが、ケージ演奏においては、そこに影響を受けてはいけません。
共演者が何をしようと挑発されることなく、私は修行僧のように自分のペースで淡々と演奏をし、徹底的に「非ドラマ性」と「非表現」を追求する、ある意味精神的な鍛練の場となりました。

その企画でもっとも準備が大変だっただろうと思われるのが、《Water Walk》でしょう。
まるでリビングルームのようなセットが笑えますが、いくつか写真を撮ったので紹介します(クリックで拡大)。



もっとも準備の大変だったであろうバスタブに水を注いでいます。



《Water Walk》のセット(ほぼ)全景です。どうみてもリビングルームにしか見えません。バラの花(造花)も詩的でしたが、右端の圧力鍋の音が最高でした。

ちなみにケージ自身による演奏の動画はここからみられます。



終演後、「演奏済み」のバスタブに入浴する某共演者の方(笑)。


ちなみに開演前にスピーカーからガリガリなっていた音が受付で「芳名帳へご記帳」という名目でお名前を書いてもらっていたボールペンなどの音を増幅していた(=《0'00"》の演奏)ことに意外に気付かれていなかったかもしれません。名前の書き方(筆圧、スピードetc.)による「演奏結果」の違いが興味深かったです。どさくさにまぎれて出演者自ら芳名帳に記帳したりもしました。


さて、本日と明日は高木正勝さんのコンサート本番です。自分の中では異種格闘技的な状態が連続していますが、とても刺激的です。
はじめはどういうスタンスで演奏すれば良いのか手探り状態でしたが、自分のペースをつかんでしまったので、毎回のリハーサルが楽しくなってきました。
気がつくとモンゴル、チベット、バリ、インドと色々なことをやってます。
あと本番だけと思うと少し寂しいです。

music_for_piano.jpgケージのピアノのための連作「Music for Piano」84曲すべてを収めた2枚組のアルバム(演奏:Sabine Liebner)です。この作品は、紙のわずかなシミや汚れを音符と見立てることによって作曲者の意図から解き放たれた音楽を作ろうとする試みによる作品ですが、全曲まばらな音が忘れた頃に孤独に鳴り響く展開や盛り上がりとは対極の音楽になっています。

この作品の最も大きな音響上の特徴は全ての音楽事象が他の音との関わりのない「単音」のみである、ということです。全曲を通じてペダルは踏みっぱなしなので、その単音の残響が時に他の音と重なり和音やメロディーのように聴こえることもありますが、あくまでもそれは偶然以上の何ものでもありません。
ピアノの単音といっても、通常の奏法に加えミュートやピッツィカートなどの内部奏法、ボディーを叩くことによる打楽器的な音響もチャンス・オペレーションによって選択されるので、多様な音域にそれらが配置されることによってストイックなりにも音響の多様さは感じられます。

音楽が続いているのをしばしば忘れてしまうほどの音のまばらさ(かなり長い無音の場面も数多くあります)が2時間ずっと続くのは、究極の退屈体験であるとも言えますが、私は不思議とこの無目的な音楽に延々と耳を傾けたくなります。

ケージのピアノ作品のCDは数多くありますが、意外にMusic for Pianoの録音は少なく、全曲録音はこれ以外にはSchleiermacherのものくらいではないでしょうか。ただこのアルバムは、演奏、録音ともに中途半端な感じで不満だったのですが、今回のアルバムを聴いてはじめてこの作品の美しさを味わうことが出来ました。

テュードアによる抜粋演奏と比べると、音量の振幅はずっと小さいものの(音量は演奏者の自由とスコアに書かれているので、どれが正しいということはありません)、それが音響の細部へと耳を傾けやすくさせているのがこの演奏のポイントでしょう。

この作品は何曲かを複数のピアノで同時演奏しても良いですし、それはそれでそれなりの面白さもあるのですが、「単音」にこだわったこの作品のコンセプトを考えると、ソロ・ヴァージョンがもっともそれを生かすのではないか、と思います。

i.ching.jpg先日の川島氏によるケージ企画の打ち上げは、打ち上げ会場の店の選定、食べ物や飲み物の注文の選定などの様々な選択を、テューバの橋本氏所有のサイコロでケージ的に決めるという、チャンス・オペレーションにこだわったものでしたが、ケージがチャンス・オペレーションの手段で利用した易経をコンピュータ上で実現するソフト「i.ching」を見つけました。

Mac OS Xをご利用の方のためにはWidgetがありますので、デスクトップで楽しめます。
http://homepage.mac.com/akhmon/i.ching.html

その他のOSをお使いの方もFlash版で楽しめます。
http://homepage.mac.com/akhmon/flash.i.ching.html

このTV番組への出演自体は有名だと思いますが、その動画を実際に見られます。

http://blog.wfmu.org/freeform/2007/04/john_cage_on_a_.html

ジョン・ケージがテレビ番組に出演した話題性以前に、そこで演奏しているWater Walkの演奏そのものがとても素晴らしいです。

リンク先のそのまたリンク先にザッパが自転車を演奏する動画もあります。

本日のケージ企画無事終了しました。

2時間半にわたる長時間の企画で、1分間全く無音というのもざらな演奏会でしたが、最後まで静聴して頂き非常に嬉しく思いました。

ケージ作品の中でも「花」や「アリア」のような定番作品を避けて選曲した結果、かなり「すきま」の多い曲目が並びましたが、この種の曲はそれなりの大きさの空間で演奏してみて初めて良さが分かることもあります。
例えば、「MUSIC FOR ONE」は30分もかかる曲ながら非常に反響が大きかったのですが、自分でも、本番中に初めて、こんな美しい曲だったんだ、ということを実感しました。この作品は愛唱曲にしたいですね。

声を電子変調したりCDと同時演奏したりと、セッティングが少々複雑だったのですが、スピーカーなどの機材も高品質で、意図したとおりの音像を鳴らすことができたのではないかと思います。

ちなみにアンコールとして「EIGHT WHISKUS」という曲を演奏しましたが、ここでようやく五線譜に書かれた楽譜が登場しました。

それまでの曲は図形楽譜でストップウォッチで時間を測る曲ばかりでしたから。。。

ちなみに本日配布したパンフレットは以下のURLからPDFをご覧頂けます。
http://matsudaira-takashi.jp/archive/winds_cafe124.pdf

丁度一週間後にケージてんこ盛り企画に出演します。
入場無料(投げ銭方式)ですのでお気軽にお越し下さい。

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WINDS CAFE 124 in 三軒茶屋 
ケージ:声のための作品集
 ~ケージ生誕95年・没後15年によせて~

松平敬(声)
ゲスト:松井茂(映像) + 川村龍俊(朗読、打楽器)

2007年4月22日(日) 13:30開演(開場13:00)
レンタルスペースSF(三軒茶屋駅下車)


プログラム
●序幕
John Cage: Radio Music (1956)
松平敬・川村龍俊・松井茂(ラジオ)

松井茂:虚の風景論──あるいはジョン・ケージのパセティック・ファラシーに関する戯曲的現代詩 (2007、委嘱初演)
川村龍俊(朗読)、松井茂(映像)

●本編
John Cage: Song Books より Solos for Voice 17, 90, 65 (1970)
松平敬(声、エレクトロニクス)

John Cage: Music for One (1984)
松平敬(声)

John Cage: Sixty-two Mesostics re Merce Cunningham (1971)
松平敬(声)

John Cage: 龍安寺 (1983)
松平敬(声)、川村龍俊(打楽器)

詳細はこちら

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ソング・ブックは以前やった時、電子変調が必要なものは技術的な理由から事前に録音した音源を使いましたが(かなり複雑な指示があるのです)、今回はライヴでの電子変調に挑戦します。
ケージ・ファンとしても有名な川村さんの企画だからこそ出来るコアでレアな選曲、思いがけず力作になってしまったプログラム(=曲目解説)もご期待下さい。

松井氏のレクチャー作品の原稿も拝見しましたが、独特の視点からケージの音楽観に付いて語る興味深い内容になっています。

cage108.jpg
cagetwo3.jpg
ケージは晩年に笙のための作品をいくつか残しています。

ONE9(1991) 笙ソロ
TWO3(1991) 笙と巻き貝の貝殻
TWO4(1991) 笙とヴァイオリン

これらの作品は上のCD及びDVD-Audio(ジャケットをクリックするとamazonに飛びます)で聴くことができますが、作品間の関係が少し複雑です。

ONE9とTWO3の笙パートは同一です。TWO3はONE9の笙パートに水を入れた巻き貝の貝殻のパートを加えたもので、巻き貝を動かすことによって意図せず生じる水のゴボッという音が本当に忘れた頃に(10分に一度くらい)笙のハーモニーに一瞬だけ加わります。そしてこの二つの作品は10のパートから構成されていて、全部を演奏すると2時間かかります。
非常に長い演奏時間ですが、沈黙の中から立ち上がる笙の時間を超越した無意図的で神秘的なハーモニーを聞くのは案外楽しいものです。

ONE9はさらに、オーケストラ作品である「108」(1991)と同時演奏が可能となっています(さらにこの「108」は特殊なチェロ独奏のためのONE8との同時演奏も可能です)。「108」の演奏時間は43分30秒(「4分33秒」のパロディだと思います)なのでONE9のパートの一部のみを演奏するのでしょう(スコアを見たことがないので厳密にチェックはしていません)。
「108」は108人のオーケストラ奏者が指揮者の代わりに設置されたテレビ・モニターの時計を見ながらそれぞれのパートを勝手に演奏する作品ですが、音素材としては弱音の長い持続音が中心(時折短い、より強い音も加わります)でこれが108個重なることによって得も言われぬ繊細なハーモニーが立ち上がるのですが、ここに笙ソロのONE9が加わると、笙のハーモニーがオーケストラのハーモニーへ滲み出るような効果が生まれます。この同時演奏による版は上の左の方のCDで聴けます。

TWO4は笙のハーモニーにヴァイオリンの弱音の持続音が重なる作品で、ヴァイオリン・パートは微分音も含みます。ヴァイオリンと笙は一見何の繋がりも無いように見えますが、ヴァイオリンが弱音の持続音で演奏することで、これら二つの楽器の音色が絶妙に重なり合います。ちなみにこの作品の笙のパートはピアノでも演奏可能です。

右のアルバムはDVD AudioでTWO3、TWO4と巻き貝の貝殻を複数使ったInlets(1977)を加えて、笙と貝殻の2つを主人公とした作品集となっていますが、こちらはiTunes Storeでもわずか1500円で購入可能です(以下バナーがリンクとなっています)。この他、ケージのナンバー・ピースはさりげなくiTunes Storeでたくさん発売されたりしています。

John Cage performed by Tamami Tono and Glenn Freeman - Two3, Inlets, Two4 / Tamami Tono, Glenn Freeman, Christina Fong [96kHz24bit Audio DVD]

あけましておめでとうございます。

昨年はなんといってもモーツァルト・イヤーで大盛り上がりでしたが、私が実際に人前で歌った曲は初期のミサ曲のソロとお下劣な歌詞のカノン(日本語訳で!)くらいでした。音楽裏街道を歩んでいますので(汗)。
ショスタコーヴィチのアニヴァーサリーもややマニアックに盛り上がりましたが、「森の歌(オリジナル詞!)」「バビ・ヤール」の合唱を本場ロシアのオケとやったのはいいとしても、なぜか「ジャズ組曲第1番」を歌う、という不可思議なこともやり、意外にツボにはまっています。

さて、今年もシベリウス没後50年などのアニバーサリーがあります。
細かくやり出すとキリがないのでとりあえずかなりピッタリな数のものだけです。
(抜け、多少中途半端でも要注目なものなどあればご指摘下さい)

ツェルニー没後150年 1791-1857
エルガー生誕150年 1857-1934
グリーグ没後100年 18431907
シベリウス没後50年 1865-1957
コルンコルド没後50年 1897-1957
松平頼則生誕100年 1907-2001
ナンカロウ没後10年 1912-1997

しかし、私にとって最も重要なのがジョン・ケージでしょう。

ジョン・ケージ1912-1992

生誕95年、没後15年という中途半端なアニヴァーサリーではありますが、現代の作曲家でケージほど声のための作品を大量に作った人はいませんし、彼の中心的な作曲法である(演奏、作曲両面の)不確定性が、声の可能性を演奏家が主体となって引き出させるというところに大きな魅力を感じます。

前夜祭に近い感じで、「声のためのソロ2」を10日ほど前にやりましたが、すでにいくつかケージを演奏する企画があります。

まず2月23日にケルンで「龍安寺」をやります。
そして4月22日に(東京で)ケージの無伴奏声楽作品ばかりをあつめたソロ・コンサートも企画していますが、こちらは曲目はまだ何も決まっていません。
「ソング・ブックス」「Music for One」「62 Mesostics Re Merce Cunningham」あたりから選ぶことになると思いますが、2時間くらいの枠だとあっという間に超えてしまうので選曲が大変です。
せっかくなので出来るだけ「退屈」なプログラミングができれば、と思います。

ついでに、6月10日(けやきホール)にはケージの師であるシェーンベルクの声楽作品を中心に集めたコンサートを大井浩明氏とのデュオで予定していて、現在曲目がほぼ固まってきていますが、大井氏のチャレンジャー魂が炸裂したかなり「てんこ盛り」な内容になっています。
前回、大井氏とやったときもシューベルト「冬の旅」、ケージ「冬の音楽」+「ソング・ブックス」をフォルテピアノでやるという無理矢理、無謀な企画だったのですが、今回はある意味それを超えてしまうかもしれません。

ということで今年も宜しくお願いします。

低音デュオライヴで演奏予定のケージの「声のためのソロ2」には自分で演奏用の楽譜から作らなくてはならない非常に面倒な曲です。
曲線や点などの印刷された透明なシートを数枚重ねて楽譜の原形を作りますが、そこからもう一手間かけないと演奏用楽譜として役に立ちません。

まず透明シートを重ねた状態のものをデジカメで写真に録り、パソコンに取り込んで演奏に不必要な図形をフォトショップで消し(実はここで結構重要な音楽的選択をしなくてはなりません)、演奏しやすいように色調も調節しました(本日は18ページ分作成)。
テキストも別の透明シートを組み合わせた結果をもとに作っていきますが、このテキストもこの画像ファイルに自分で打ち込んでいきます。
とりあえずここまでを始めの2ページ分作ってみました。

以下がこの作業で完成した私の演奏用ヴァージョンの楽譜です。
ちなみに3つめの画像は加工する前、つまり透明シートを重ねただけの状態です。

p1.jpg
p2.jpg
DSCF1294.jpg

結果的に後年作曲する「龍安寺」の楽譜を思わせるような仕上がりになります。

縦軸がピッチ、横軸が時間軸なのでどういうメロディーラインになるかはおおよそ想像がつきますが、上の狭い方の長方形の枠のなかの「音符」はノイズ的な音響(声以外も含む)を表します。
従ってそこでどういう音を出すかというのも考えなくてはなりませんので(もちろんまだノー・アイデア)、とりあえず「さらえる」状態にするまでが一苦労です。
そしてそれだけ手間暇をかけて、演奏結果が、遊びで適当にやっているように見えるところが個人的にはグッときます(汗

無料の音楽雑誌の「ぶらあぼ」によるダウンロード型の音楽配信サイト『ブラビッシモ!』で、昨年私が大井浩明氏のフォルテピアノと共演したシューベルト「冬の旅」、ケージ「冬の音楽+ソング・ブックス」の演奏会のライヴ録音のダウンロード配信が始まっています。

シューベルト「冬の旅」
ケージ「冬の音楽」+「ソング・ブックス」(同時演奏)

「冬の旅」は1曲単位でも購入可能ですが全曲まとめて購入する方が圧倒的にお得な設定になっています。
ケージの方は、会場のスピーカーの音質が貧弱だったため、同時に再生したCD音源の音質、バランスがあまり良くなかったのですが、自宅でこの音源をライヴ録音に再び重ねるという荒技リミックスを施しこの欠点を改善し、それを本配信でも使用しています。2006年11月16日までの限定配信となりますので、お早めにご購入頂けると嬉しいです。

音源再生に際してWindows Media Playerが必要ですが、残念な事にMac版のWindows Media Playerでは再生できない仕様になっていますので(著作権保護のフォーマットの関係上)、マックをお使いの方はご注意下さい。
つまり私自身がダウンロードした音源を聴けない悲惨な状況なのですが、オリジナルの音源はもちろん持ってますのでご安心を。

cage_ul.jpgジョン・ケージの「プリペアド・ピアノと室内管弦楽のための協奏曲」「ピアノと管弦楽のためのコンサート」といった50年代の名作のライヴ映像をおさめたDVDです。演奏はメッツマッハー指揮のアンサンブル・モデルンでプリペアド・ピアノ独奏はヘルマン・クレッチマー、ピアノ独奏はデヴィッド・チュードアです。チュードアがソリストを務めた方の演奏はMODEレーベルからでているCDと同日演奏(1992.9.4.)ですがテイクが違います(おそらくCD収録のものはゲネプロの時に収録したと思われますが、DVDにはっきりとしたデータの記載がないため詳細不明)。

本DVD前半のケージの音楽についての解説はスキップしても問題のない無難な内容ですが、やはり晩年のチュードアをソリストに迎えた「ピアノと管弦楽のためのコンサート」の演奏は「伝説」であるといっても良い程貴重なものでしょう。
ありとあらゆる内部奏法やピアノの回りに並べ立てたさまざまな飛び道具的な電子楽器(「楽器」というには躊躇するようなものばかりですが。。)を歩き回りながら演奏する姿は必見です。晩年の涅槃の境地に達したようなオーラもものすごいものがあります。それに対するアンサンブル・モデルン(トランペットにはシュトックハウゼン講習会で講師も務めた事もあるヴィリアム・フォアマンがいました)も大健闘です。この曲独自の、両手で時計の針のような動きをする奇妙な「指揮」や、(演奏効果があったりなかったりする)様々な特殊奏法(様々な玩具や、音を出す物体も使用しています)、それに伴う多少の演劇的要素の面白さは映像を伴う事でより面白みを増します。

いい加減な解釈で演奏されがちな不確定性満載のケージのスコアを、非常に入念に準備したであろうことが映像、演奏両面から強く伺える仕上がりになっています。

昨年演奏したケージ「ソング・ブックス」のリアリゼーションを文章にまとめたものを以下のページにアップしました。

http://matsudaira-takashi.jp/archive/song1.html

まだ半分ほどの記述ですが、改めて文章にまとめてみてケージの演奏は何と準備に手間がかかるのだろう、と再認識しました。

sekitei.jpg

3年前のコンサートに関する記事を今さらという感じですが、ケージの「龍安寺」のリアリゼーションに関する記事をアップしました。
http://matsudaira-takashi.jp/kuerten/doshisha3.html

同じコンサートでケージの「4分33秒」や「アリア」もやりましたが、そのリアリゼーションに関する記事(以前からアップしているものです)も合わせてお読み頂ければと思います。
http://matsudaira-takashi.jp/kuerten/doshisha1.html

coverケージが様々な小話(有名な「4分33秒」誕生秘話もあります)をしゃべっていくのと同時に(そして無関係に)テュードアが「ピアノとオーケストラのためのコンサート」の(単独でも演奏可能な)ピアノパートとフォンタナ・ミックスのスコアから作成したテープ音楽を90分にわたって演奏するという刺激的なアルバムです。ケージの話すひとつひとつの小話はすべて1分きっかりで話せるように作ってありますが、字数に幅があるので、話の長さによって、ものすごく早口で読んだり、単語と単語の間に長い沈黙を挟むほどゆっくり話したりと、不規則に読むテンポが変化します。ケージの話し声には不思議なヴァイブレーションがあって音として聞いているだけでとても気持ち良くなってきます。こうした特徴はウィリアム・バロウズにも共通します。

テュードアの演奏も非常に素晴らしく、ピアノの音電子音、加工された具体音などの様々な孤立した音が次々と表れては消えていきますが、この緊張感は彼でなければ出すことが出来ません。当然彼の演奏するパートはケージの不確定なスコアからリアリゼーションして作成したものですが、それに重ねてケージが不確定性に関わる様々なストーリーを話していく、というのはとても面白いアイデアです。

しばしばテュードアの演奏する音がケージの話し声をかき消して、話の一部が聴き取れなくなる所もあります。それ自体に意味やストーリーのある文章でも彼にとってはそうしたことがきちんと伝わることはそれほど重要でないのです。

実際後年になってさまざまなテキストを種々のルールに従ってカットアップによる再構成を行ったりEmpty Wordsにおいては単語すら分解されて、意味のない音素がぽつぽつと印刷されているだけのところにまで行き着きます。

ケージ晩年の打楽器4重奏のための作品。この曲は実は日本で世界初演され、私はその場に立ちあっていました。
トレモロなどで引き伸ばされた打楽器の音色が断続的に表れては消え、という典型的な彼の晩年のスタイルによる作品ですから、初期のにぎやかな打楽器アンサンブルの作品群とは全く作風が異なります。
そういえば4人の奏者全員がレインスティックを用いるFOUR3もなかなか気持ちの良くなる作品です。

modeレーベルのThe Complete John Cage Editionからの1枚。
ケージと合唱曲って一見結びつかない気もするのですが、どの曲も合唱の純粋な響きをうまく生かしたものとなっています。
FOUR2、FIVEといった後期のいわゆるナンバーピースものは持続音を中心にしている作品ですから合唱の響きの美しさを引き出せるのは予想できましたが、意外な収穫はHymns and Variationsという1979年の作品でした。
ある賛美歌から幾つかの声部を部分的に取り除いて歯抜け状態にしたり、音を引き伸ばしたりというシンプルなアイデアの作品ですが、結果としては希薄な調性感のある断片的なハーモニーがぽつぽつと表れては消え、という音楽になっていて、しかももとの賛美歌の雰囲気もわずかに残っている、という絶妙な仕上がりになっています。

ケージがシェーンベルクの弟子だった時に「君には和声の感覚が欠如している」と指摘され、リズムの探求に走ったのは有名な話ですが、ここに収められている合唱作品は極めて美しいハーモニーに満ち溢れています。

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おしらせ

■松平敬 1stアルバム
《MONO=POLI》


 マショーからケージまでの声楽アンサンブル作品を、多重録音によってすべて一人の声のみで演奏したアルバム。
 16声部のリゲティ《ルクス・エテルナ》も収録。

ENZO Recordings
EZCD-10006

プロモーション・ヴィデオ

ご購入は以下まで:
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松平敬 - モノ=ポリ・ひとりの声のための交響曲

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