6月の無伴奏ライヴで演奏した森田泰之進氏の委嘱新作《うたかたながし》の動画をアップしました。途中から事前に録音、加工した私の声とのヴァーチャル二重奏になりますが、この面白さは動画でこそ倍増します。


他の動画も追ってアップする予定です。
本日は蕨市まで「クラヤミノtones」というワークショップへ参加してきました。
このワークショップの「倍音コンダクター」徳久ウィリアム氏からのお誘いで参加しました。徳久氏は、昨年、日本現代音楽協会の企画で共演した、ホーメイほか特殊唱法のスペシャリストです。

会場は大学の小さめの講義室くらいの広さの畳張りの部屋で、窓に黒い布を貼るなどをして、完全な暗闇の環境を作り,そこで声を出したり歩いたりする、という内容でした。

こうやって書くと何でもないようなイベントのようですが、そのすごさは体験してみないと分からないでしょう。

完全な暗闇状態を作っているので、目を開けても閉じてもまったく違いはありません。
始めのうちは残像のようなものが見えますが、時間がたつと完全に「見る」という感覚を忘れ、聴覚や触覚のみを頼りに行動することとなります。
視覚が遮断された分、これらの感覚が研ぎ澄まされるのを体験するのは、かなり新鮮でした。

まずは、暗闇のなかで自分の体の様々な部分を触ります。
自分の触った部分のみが暗闇のなかで照らし出されたような不思議な感覚になります。

そして、暗闇のなかで倍音唱法的な発声で各自が好きに音を出します。
たくさんの声の倍音が重なりあうさまも、視覚情報がない分、細かく聞き取れることができます。
声を出している主体が見えないので、まわりから聴こえてくる声が、肉体から離れた音響そのものとして聴こえてきます。

暗闇に慣れてくると、多くの人が声を出している中、メガホンで声を出している特定の人のところまで歩いていく試みも行われました。
音の出てくる方へ移動することは、日常生活で珍しくはありませんが、完全に視覚を遮断して純粋に音声情報だけで判断することは、これまで完全に未体験で、不思議な感動を覚えました。

2時間あまりのワークショップのあと、少しづつ照明をあげていきますが、「見える」ということの大きな意味を再認識し、同時にそれ以外の鈍感になりがちな身体感覚の意味も考え直しました。特に、暗闇のなかで触覚を意識することによって、この感覚が今までと違うもののように思われました。

シュトックハウゼンは電子音楽を聴くときに、見るべきものは何もないので、目を閉じて音楽を聞きなさい、そうすれば内なる世界が広がるだろう、という意味のことを何度も話していましたが、そうしたことも思い出しました。

ワークショップが終わった後、街の街灯を見ただけで、すべての視覚が異様にヴィヴィッドに感じられたのも面白かったです。

特別な運動を行ったわけでもないのにマッサージを受けたかのように体がすっきりしたのも不思議でした。私がよく行く整体の先生に、施術中に目を閉じなさい、とよく言われますが、膨大な視覚情報が体にストレスを与えるのかも、というようなことも考えました。

この企画は、これ以降も予定されていますので、ご興味のある方は参加されてみてはいかがでしょうか?

シュトックハウゼンの公式ウェブサイトに、来年の4月ケルンでの《光の日曜日》全曲上演の情報がアップされているので紹介しておきます。

《光の日曜日》は5つの場面から構成されますが(第5場面は3つのヴァージョンが続けて演奏されます)、全曲演奏すると非常に長いので、2日に分けて演奏する公演と、3部分仕立てで1日で全曲演奏する公演の2種類が用意されています。

April 9th (première 1st part) April 10th (première 2nd part)
April 20th (1st part) April 21st (2nd part)
April 24th (entire opera in 3 parts)
April 26th (1st part) April 27th (2nd part)
April 28th (1st part) April 29th (2nd part)
May 1st (entire opera in 3 parts)


1日で全曲演奏行う日のタイムテーブルは以下のようになります。

1. Teil: 
12:00-12:55 LICHTER-WASSER (ca. 51 Minuten)
13:15-14:00 ENGEL-PROZESSIONEN (ca. 40 Minuten)

2. Teil: 
15:30-16:15 LICHT-BILDER (ca. 40 Minuten)
16:35-17:35 DÜFTE - ZEICHEN (ca. 57 Minuten)

3. Teil: 
19:00-19:40 HOCH-ZEITEN 1. Teil (ca. 35 Minuten)
20:00-20:40 HOCH-ZEITEN 2. Teil (ca. 35 Minuten)
20:40-21:15 SONNTAGS-ABSCHIED (ca. 35 Minuten)

つまり、12時開演、21時終演、ということになります!

ちなみに、LICHTER-WASSWERは客席内に散らばって演奏するオーケストラ、ソプラノ、テノール独唱、シンセのための作品、ENGEL-PROZESSIONENは客席内を練り歩く7群の合唱のための作品、映像も伴なうLICHT-BILDERはバセットホルン、(リング変調された)フルート、テノール、(リング変調された)トランペットのための作品、7種類のお香がたかれるDÜFTE-ZEICHENは7人の歌手、ボーイ・ソプラノ、シンセのための作品、HOCH-ZEITENは2つの会場で同時に演奏され互いに音声を衛星中継するオーケストラおよび合唱団の作品となっています。
HOCH-ZEITENは今回は合唱版の方は、テープ上演となり、その代わりにダンサーによるパフォーマンスが加わるようです。
SONNTAGS-ABSCHIEDはHOCH-ZEITENを5台のシンセで演奏したものをテープ上演する作品です。

通常のオペラとは全くかけ離れたコンセプトで、しかも各場面の編成も全く異なるので全曲まとめての演奏は極めて困難ですが、これが実際に演奏されるとなるとどうなるのか興味津々です。
気がつくと、6月の無伴奏ライヴから一ヶ月近くたっていました。立ち見が出るほどたくさんのお客さんにお越しいただき、ありがとうございました。

さて、久々になってしまいましたが、シュトックハウゼンの新しい楽譜、CDの情報です。

5月にケルンでKLANG全曲がまとめて演奏されましたが、それと関連して音源の録音、楽譜の出版も進んでいます。

今回音源として出たのが、15、17、18時間目です。
COSMIC PULSESを再利用した電子音楽に、それぞれバリトン、ホルン、テノールのソリストが加わった作品です。同作品の楽譜も同時に出版されました。
これで、KLANG「午後の部」は16時間目以外のすべてが、揃ったことになります。

逆に5〜12時間目は全く音源が出ていないので、ネットラジオなどで放送された音源の録音を聴くしかありませんが、楽譜は5、7、8、12時間目が出版されています。
6〜12時間目はすべて5時間目《ハーモニー》を三重奏の作品に拡大したもので、すべて同じ楽想を使用しています。

おそらく6時間目《美》(楽譜も音源も未入手)の素材を7時間目以降で再利用しています。
5時間目の5部分からなる構造がそのまま6時間目の構造に対応していますが、7時間目以降では、この5つの部分の演奏順が入れ替えられているアイデアのようです。
楽器編成は各曲ごとに異なるので、奏法が変わっていたり、楽器の音域や演奏能力に合わせて細部が修正されていますが、基本的に同じ楽譜を使い回ししています。
細かい挿入句は、曲ごとに異なっていますが、挿入句自体も使い回しされています。
(例えば10時間目のコーダ部が12時間目の導入部として流用されるなど)
コントラストを重視するシュトックハウゼンが「類似性」に着目した、彼の中では珍しい試みと言えます。

ところで、最新の作品表が公式ウェブサイトにアップされています。
2007年に作られた《ティアクライス》の〈牡牛座〉の五重奏版、前述の《ハーモニー》の派生作品と思われる《KATIKATI》(2006)など、全く知らなかった作品がさりげなく加えられています。

作品表のあとにはCDのカタログがのっていますが、KLANGの未発表の音源もすでにCD番号が決まっているのが分かります。

注目はCD100です。
最後の作曲となった《ティアクライス》のオーケストラ版、ケルン市役所のカリヨン版が入ることは知っていましたが、今まで公式音源のなかった1977年のオーケストラ曲《ユビロイム》が加えられています。

シュトックハウゼンが亡くなって3年がたとうとしていますが、未発表音源がまだまだ予定されているというのは驚きです。
明日の無伴奏ライヴ、すでにお伝えしてある通り、予約は締め切っていますが、当日枠を若干確保していますので、ご興味のある方はおはやめにご来場下さい。

さて、最終的な曲順が決まりましたので、以下にお知らせします。
(以前告知したものから若干変わってます)


Morton Feldman: Only
松井茂: 純粋詩(音声版)
松井茂: 「音声詩作品集」より
   時の声、音響清掃、マンホール69
高橋悠治: 毛沢東詞三首
森田泰之進: うたかたながし(委嘱初演)
John Cage: Music for One

〜休憩〜

鶴見幸代: アリア(委嘱初演)
Kurt Schwitters: ursonate


一人の声だけで一晩の演奏会にする、というアイデアが自分にとって手応えがあったので、「独声(どくしょう)」というシリーズにして今後もゆっくりと続けていこうと思います。
「しょう」の部分は、一人の「声」であり一人の「唱」であり一人の「show」でもあります。

演奏は一人ですが、新作委嘱という形で、作曲家の方々とコラボレーションできれば、とも思っていますので、そちらにもご注目頂ければ、と思います。
今回も2曲新作を委嘱していますが、どちらも注目作、お楽しみに。
24日の無伴奏ライヴ、予約が好評につき、本日23:59受付分で予約分終了とします。それ以降は、当日扱いとなります。当日分の座席も現時点で若干はあります。
先週の富山での、高木正勝氏との公演は、全国から集まった多くのお客さん、素晴らしいスタッフ、共演者のおかげで無事に終了しました。
このメンバーでの今後の予定はありませんが、また一緒にやりたいな、と思える稀有な企画だったと思います。
このプロジェクトと並行して制作された映画《或る音楽》もDVD化の予定があるようですのでお楽しみに。

昨年、京都での同じメンバーでの演奏の映像を見つけたので、動画をはっておきます。
これを見て思ったのが、この映像のように数曲だけ切り出しても、ここで作り出されている音楽の面白さがほとんど伝わってこないこと。
1時間の連続した音楽の流れがいかに大事だったのか再認識しました。


そして、本題。
今回の会場のヘリオスは、すぐまわりに田んぼの散財するのどかな場所でしたが、印象に残ったのが用水路を流れる水の音。

すかさずiPhoneで録音、若干の編集をした音源をアップしました。下のリンクよりどうぞ。

24日の無伴奏ライヴ、チラシ上では曲目は一部のみの掲載でしたが、全曲のプログラムが固まりましたので以下にお知らせします。
(現時点で想定している曲順で掲載しています)

Morton Feldman: Only
松井茂: 「音声詩作品集」より
   時の声、音響清掃、マンホール69
森田泰之進: うたかたながし(委嘱初演)
高橋悠治: 毛沢東詞三首
John Cage: Music for One
松井茂: 純粋詩(音声版)
鶴見幸代: アリア(委嘱初演)
Kurt Schwitters: ursonate

かなり長いプログラムになりました。体力をつけてお越し下さい。

お陰さまで、現時点でかなりのご予約を頂いています。
確実にご入場されるためには、お早めのご予約、そしてご予約いただいた方は、立ち見になる可能性もありますので、お早めのご来場をお薦めします。
ご予約は、gemini3@me.comで承ります。


ちなみに今週末は高木正勝氏のコンサートで富山へ行きます。

◎高木正勝コンサート 'TAI REI TEI RIO'
日程:2010年06月12日(土) 19:00開場 19:30開演
会場:富山県南砺市 福野文化創造センター 円形劇場ヘリオス
出演:高木正勝 piano/田口晴香 vocal/松平敬 vocal/熊澤洋子 violin/金子鉄心 uilleann pipes/ヤマカミヒトミ flute/OLAibi percussions/佐藤直子 percussions/沢田穣治 contrabass
昨日の「墨田ぶらり下町音楽祭」、雨にも関わらず、多数のご来場ありがとうございました。
自分の備忘録として、昨日のセットリストを。

どうでもいいことですが、4回の本番、ことごとく微妙にプログラムが違いました。

松平敬(声、打楽器)
橋本晋哉(テューバ、セルパン)

14:00-
Michel Godard: Serpens secundo(セルパン・ソロ)
作者不詳:Domino fidelium - Domino
Jacobus da Bononia: Non al suo amante
作者不詳: Roma gaudens jubila
鈴木治行:沼地の水

15:00-
作者不詳:Domino fidelium - Domino
Jacobus da Bononia: Non al suo amante
作者不詳: Roma gaudens jubila
John Cage: Eight Whiskus(声ソロ)
鈴木治行:沼地の水

16:00-
作者不詳:Domino fidelium - Domino
Jacobus da Bononia: Non al suo amante
作者不詳: Roma gaudens jubila
Michel Godard: Serpens secundo(セルパン・ソロ)
鈴木治行:沼地の水

17:00-
作者不詳:Domino fidelium - Domino
Jacobus da Bononia: Non al suo amante
作者不詳: Roma gaudens jubila
John Cage: Eight Whiskus(声ソロ)
鈴木治行:沼地の水
武満徹:明日ハ晴レカナ、曇リカナ


次の本番は6月24日の無伴奏ソロライヴ、長大なプログラムになりそうですが、頑張ります。
日曜日は、このような企画に出演します。

墨田ぶらり下町音楽祭
5月23日(日)14:00~ 15:00~ 16:00~ 17:00~
入場料:1日通し券2500円、1箇所1公演のみ1000円

出演:
愛甲雅美(ソプラノ)安藤由香(リコーダー)鈴木奈津子(ピアノ)長久真実子(チェンバロ)
橋本晋哉(テューバ)パティオ・イカウイイ(シンガー) 松平敬 (声、バリトン)
安江佐和子(パーカッション) 山本徹(チェロ) 吉川真澄(ソプラノ)渡辺佳代子(オーボエ)

押上駅の7つの会場で行われる音楽祭です。
私は、橋本晋哉氏とともに「現代音楽ブース」(押上文花町会倉庫)で演奏します。
30分のステージを4回やります。

曲目は鈴木治行氏の《沼地の水》、中世の作品などを演奏します。
宜しければ、ぶらりとお越し下さい。

昨日は、有楽町で行われているラ・フォル・ジュルネへポゴレリチの演奏を聞きに行きました。どうも最近の彼の演奏は、あちら側の世界に行っているらしい、という噂を聞いていたので覚悟はしていましたが、予想を超えるトンデモ演奏で、近年稀にみる大ショックを受けてしまいました。
演奏した曲目は、ショパンの「ピアノ協奏曲第2番」、コンチェルトでよくここまでやりたい放題やったというくらいの主観的な演奏でした。

単なる奇天烈な解釈として切り捨てられないのは、現在の彼が本心から、この音楽をあのように捉えていることが痛切に伝わってきたからです。

以下、ツイッターに昨晩から今日にかけてつぶやきまくった投稿をそのまま転載します。

---


ポゴレリチ聴いた。何というか、見てはいけないものを見てしまった感じ。。

pppppとffだけの音楽。あの世から聴こえてくるのかと思うくらい可聴域すれすれの(しかしとてつもなく美しすぎる)弱音と、突然もだえくるうような低音のff

1分に数回はフェルマータ。音を伸ばしているというよりは時間が止まった感じ。ポゴレリチが美しいと感じた瞬間を凍結させるかのよう。この異様な時間感覚はほとんどシュトックハウゼンかケージ

異常に遅いソロパートからオケのトゥッティに戻ると日常的な世界に引き戻される。さっきのあれは何だったんだ、という感じ。

それにしてもあの第2楽章の耽美と絶望の入り交じったような異様な表現力は何だったのだろう。。

そしてあの15分はかかっていた第2楽章をアンコールでもう一度演奏してしまう神経は何ww

あの有楽町の「祭り」の雰囲気にはもっとも相応しくない奇怪な演奏。ショパンなめるなよ、地獄の音楽だぜ、とでも言いたいのだろうか。

ただの奇天烈な演奏として拒絶する人が多いし、ブーイングが出ているのも分かる極端な演奏だし、逆に肯定的に捉える人もいるのも分かるけれども、立ち上がって歓声を上げる人の気持は理解できない。

あのような奇怪な解釈でも、ポゴレリチにはショパンがあのような異常な音楽として捉えられているのはよく分かったので、あれはあれでありだとは思う。

とにかく、あの鬱々とした音楽のネガティヴなオーラを完全に受けてしまい、どよーんとした気持ちが未だに抜けきれない。

会場のロビーで、同じ曲のアバドとの共演盤を売っていたけど、あの頃の演奏との極端な落差を考えたら、「どうよ」と思ってしまう。

ポゴレリチのさらに恐ろしいのは、あのような自己没入型の演奏をしている割には、妙に客観的な面も持ち合わせていること。

コンチェルトなので、日常の世界へ戻ることができるが、リサイタルだと、そこへ引き戻してくれる人がいない訳で、どのような冥界へ連れていかれるのか。。

今日のポゴレリチのショパンの演奏は、明日自殺する人が人生の最後に奏でる告別の音楽。そんな演奏を続けるポゴレリチは???

「ロマンチックな」ショパン聞きに行ったら、ピアノから貞子が表れたような衝撃を受けた人もいるのでは、、、

今日のポゴレリチ、聴衆にも陰鬱なオーラを浴びせかけるとともに、演奏者本人も自分自身で首を締めるような究極の拷問のような演奏。自己陶酔とは真逆の世界。

自分自身に拷問と苦行を強いながらも、それを冷静に見つめる本人も同時に存在している不思議

そろそろ、寝ようと思うが、ポゴレリチの悪夢を見そうな予感。。。

ポゴレリチの弾くラフマニノフのピアコン2番。おそらく最近の演奏で、ソロパートでのドロドロな感じが不穏な空気を漂わせるが、昨日の演奏と比べると、この演奏はごくごく普通。 

昨日のポゴレリチのトラウマを払拭するために、目黒寄生虫博物館へ向かう。


---
以上

昨年秋に初演された中川俊郎氏のオーケストラ作品《曲率》の動画を、YouTubeで発見したので貼っておきます。

ソロ・パフォーマーのパートは中川氏本人がやっていますが、この面白さは動画を見なければ分からないでしょう。

ちなみに私はこの演奏を聴いていますが、座った席が最前列でしかも中川氏のすぐ近く、このときの会場の東京芸術劇場はステージがあまり高くないので、この抱腹絶倒のパフォーマンスをかぶりつきで堪能してしまいました。




シュトックハウゼンが最晩年に作曲した24の連作からなるKLANG(22時間目以降は未完)の全曲演奏が、来月ケルンで行われますが、その大部分の演奏に関わるmusikFabrikが、リハの模様をYouTubeにアップしていますので、上に埋め込んであります。

リハーサルしている曲は10時間目のGLANZ、テキパキとリハをしきっているのはシュトックハウゼンの長年の共演者、カティンカ・パスヴェーアです。

演奏会は、7つの会場で同時進行で行われます。基本的にひとつの会場で3演目を繰り返し一日中演奏し、聴く人が自由に会場を回って聞きたいものを選ぶというシステムになっています。
詳細はこちらをどうぞ。

時期さえ合えば、絶対行きたかったのですが。。。

「カッチーニのアヴェ・マリア」と知られる作品の作曲者が、どうやらソ連のリュート奏者ヴァヴィロフという人の作らしい、という記事を以前書いたことがありますが、この曲に関する新しい資料と情報を見つけたので以下に記します。

この作品の世界初録音は、メロディアから発売されていたヴァヴィロフのアルバム《ルネサンスのリュート音楽》に収められています。録音は1970年、16世紀の作者不詳の《アヴェ・マリア》としてクレジットされていますが、音楽は、今知られているものとほとんど同一のアレンジです(冒頭のリュートのソロの和音が少し耳新しい程度の違い)。リュートとオルガンの伴奏で、リュートはヴァヴィロフ自身が弾いています。

CD化されたこのアルバムの後半は、ヴァヴィロフとは別のリュート奏者のアルバムが併録されていますが、前半のヴァヴィロフの部分の曲目リストは以下の様になっています。

・ダ・ミラノ:リュートのための組曲
・イタリア民謡(16世紀):スパニョレッタ
・作曲者不詳(16世紀):アヴェ・マリア
・ニグリーノ:リチェルカーレ
・ガリレイ:リュートのための組曲
・ノイジードラ:シャコンヌ
・イギリス民謡:グリーンスリーヴスとガリアルド
・フランス民謡:トゥルディオン
・バイフ:パストレッラ
・ゴーティエ:ガヴォット

かなり、渋いラインナップになっていますが、一聴してわかるのが、どれもルネサンス音楽とは思えない作品ばかりで、モリコーネあたりが作った擬似バロック音楽のような響きを持っています(それはそれで面白いです)。ひょっとして、これは!?と色々調べてみると、このアルバムのグリーンスリーヴス以外のすべての曲はヴァヴィロフ自身の作品らしい、ということが判明しました。つまり、アルバム全体が偽作のルネサンス音楽という大胆な試みを行っていたということです。
詳細は、こちらの記事を御覧下さい(原文はロシア語ですがGoogle翻訳で英訳したページにリンクを張っています)。

ロシア語の原文を当たっていないので事実誤認あるかもしれませんが、凡そ以下のように理解しています。

ヴァヴィロフはギターやリュートを演奏していたが、作曲家になりたかった、しかし正式な作曲の教育を受けていないので、自分の名前で作品を発表するのをためらっていたようです。手始めに教則本によく知られたギタリストの作と称して、自作を発表し、それで味をしめたら、今度はルネサンスの作曲家を騙って自作をコンサートなどで演奏し始めたようです。聴衆が、なんだか古雅な作品だな、と何も知らずに好意的な反応を寄せてくれたようです。そして、全曲自作によるこのアルバムを「ルネサンス作品集」として録音したのです。リンク先の記事に、ヴァヴィロフをよく知る人が、すべて彼の作品だ、と証言している部分もあります。
そして、このアルバムはソ連国内ではそれなりに反響があったようで、《アヴェ・マリア》もそれなりに知られていた可能性があります。

1970年代にヴァヴィロフはこの曲をもう一度録音しています(以下のCD)。
Irene Bogachyovaと録音したときには、この曲のクレジットが(G.Cacciniではなく)D.Caccini作となっていて、この録音によってカッチーニ作というクレジットが引き継がれるようになったのではと推測されます(ヴァヴィロフは1973年に亡くなっているのに、1974年録音となっているのも不可解ではあります)。
ここでのアレンジは、初録音での冒頭のリュート・ソロがなくなって、より現在よく知られているヴァージョンに近くなっています。




ということで、状況証拠はかなり揃ってきましので、ヴァヴィロフ作曲ということで、ほぼ断定しても良いかと思います。
無伴奏ライヴ.jpg


6月に行うソロ・ライヴのチラシができあがりましたのでアップします。上の画像をクリックするとPDFファイルが開きます。
ご予約お待ちしております。


私も、双子座三重奏団のレパートリーとして時々演奏する、《猫の二重唱》はロッシーニの作として知られていますが、どうも偽作らしいというのは曖昧な情報として知っていました。

ようやく、この作品の成立についての経緯についての信頼できる記述(Schottの楽譜の2009年版の解説)を発見したので、備忘録がわりに書き記しておきます。

この形に仕上げたのは、イギリス人のRobert Lucas Pearsall(1795-1856)、ロッシーニ自身の作品も含む「つぎはぎ」作業によって作られました。

はじめのAdagioの部分は、デンマークの作曲家Ernst Friedrich WeyseのKatte-Cavatine(猫のカヴァティーナ)の編曲、最後の早い部分はロッシーニの歌劇《オテロ》の第2幕のRodrigoのアリアからの引用です。真ん中の8分の6拍子はPearsall氏によるもののようです。

WeyseのKatte-Cavatineの楽譜はここで見ることができますが、3拍子だった原曲が、4拍子に変更されているものの、猫の鳴き声を「歌詞」として使うアイデア、和声進行などは、そのまま引き写しているのが分かります。
Weyseの伝記の著者によると、1822年に出版されたこの作品の楽譜すらPearsallの編曲らしいとのこと。

猫の二重唱に使われた《オテロ》の中のアリアは、ここで聴くことができます(3分30秒あたり、NMLに登録していない方は時間制限あり)。これは、そのままなのですが、猫の二重唱の方をよく知っているので、このパッセージが出てくるとちょっと笑ってしまいます。

(WikiにはOtelloとIagoの二重唱の素材が使われている、との記述がありますが、どうも間違いのようです。同様の記述のある文献がGoogle Booksの検索に引っかかってきましたが、この記述を鵜呑みにして引用したことによる誤りだと思われます。)

Weyseのヴァージョンは1825年にG.Bertholdのペンネームで出版されましたが、その後Schottによって1971年に出版された楽譜がロッシーニ作とされ、そのままロッシーニの作品として知られるようになったようです。
最近読んだ本
《科学と神秘のあいだ》菊池誠著

血液型占いにはじまり、アポロの月面着陸は捏造だった説、水は人間のことばに反応する説、9・11陰謀説、神武天皇以来受け継がれたY染色体説、動物による地震の予知など、一見科学的に思えて、実はニセ科学にすぎない様々な事象について分かりやすく書かれた本です。

一見科学の顔をしたトンデモ理論が、さりげない論理の飛躍によって、とてつもない結論へ帰結して、それを信じてしまう危険性はオウム事件などでも明らかになっていますが、これは「リアル」とは何か、という人間の認知の問題にもつながります。

物理学を専門とする筆者も、お化けはこわい、と公言する通り、科学の領域がおよばない部分の「神秘」の部分を否定しているわけではありません。
夜道で見た謎の白い物体が、あとで風で飛ばされた洗濯物だと判明しても、その時に「幽霊だ」と実感したのなら、その人は実際に幽霊をみた、ということになるのです。

そうしたこともふまえ、科学とはなにか、神秘とはなにか、考察したこの本は、大変興味深い内容でした。

レッド・ツェッペリン好きな筆者らしく、音楽の話題もよく文章にあらわれますが、テルミン、ウダー、尾上祐一氏など、チョイスがかなり独特で、これもツボでした。

先日行ってきた香港でフィールド録音したものを編集しました。
単につなげるだけでなく、複数の録音を同時に再生させることにより生々しい(でも架空の)音風景を再現するように試みた「なんちゃってリュック・フェラーリ」風音源です。

ちなみに、録音はすべてiPhone標準の録音機能を、編集にはLogicを使用しました。

音源はこちらのリンクよりどうぞ。
hongkong.mp3

今は、コーラスでこういう仕事をやっていますが、5,6月に以下のようなものに出演しています。詳細は追って再告知します。


墨田ぶらり下町音楽祭
5月23日(日)14:00~ 15:00~ 16:00~ 17:00~
入場料:1日通し券2500円、1箇所1公演のみ1000円

出演:
愛甲雅美(ソプラノ)安藤由香(リコーダー)鈴木奈津子(ピアノ)長久真実子(チェンバロ)
橋本晋哉(テューバ)パティオ・イカウイイ(シンガー) 松平敬 (声、バリトン)
安江佐和子(パーカッション) 山本徹(チェロ) 吉川真澄(ソプラノ)渡辺佳代子(オーボエ)

押上駅の7つの会場で行われる音楽祭です。
私は、橋本晋哉氏とともに「現代音楽ブース」(押上文花町会倉庫)で演奏します。
30分のステージを4回やります。
曲目は未定ですが、低音デュオのレパートリーが演奏されるかと思います。



松平敬:無伴奏ソロ・ライヴ(仮題)
6月24日(木)19:00~ 公園通りクラシックス
入場料:2500円(ご予約)、2800円(当日)

出演:松平敬(声)

曲目(予定):
ジョン・ケージ:Music for One
森田泰之進:うたかたながし(委嘱初演)
クルト・シュヴィッターズ:Ursonate
鶴見幸代:アリア(委嘱初演) ほか

全編、私ひとりのみの演奏でお送りします。
数年前にも似たような企画をやっていますが、その時は部分的に有馬純寿氏に音響をお手伝いしてもらいました。今回は、完全にひとりでやる、というコンセプトです。
MONO=POLIではなく、MONOのみということです。


以下、「MONO=POLI」関連記事の掲載誌などの情報です。
括弧内は記事のライターのお名前です(敬称略)。

レコード芸術4月号(佐野光司、長木誠司)
CDジャーナル4月号(長井進之介)

CDジャーナルはカラー1ページの大きな記事を組んでもらえたのも嬉しいですが、さりげなく表紙にも私の名前が!!

すでにお知らせ済みの、タワーレコードのフリーペーパーintoxicate84号の記事がweb上にも掲載されました。以下のリンクからどうぞ。

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先週、高木正勝氏の共演者として香港公演を行いましたが、リハなどの合間に撮った写真をアップしました。
泊まったホテルの近くは日本でいうと昭和30年代位を思わせるかなり古い町並み、ディープな香港ライフを満喫しました。

写真はこちらからどうぞ。

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■松平敬 1stアルバム
《MONO=POLI》


 マショーからケージまでの声楽アンサンブル作品を、多重録音によってすべて一人の声のみで演奏したアルバム。
 16声部のリゲティ《ルクス・エテルナ》も収録。

ENZO Recordings
EZCD-10006

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