

モリコーネによるNHKの番組「ルーブル美術館」のサントラです。とはいってもほかの映画のために作った作品の使い回しばかりなのですが、どの曲も偽バロック風な弦楽合奏、チェンバロ、ピアノ、オーボエなどを中心とした気品のある作品ばかりで、寄せ集めとは思えないすばらしい統一感を持っている素晴らしいアルバムです。偽バロック風なサントラといえば割と最近の映画「宮廷料理人ヴァテール」のサントラ(ラモーなどほんもののバロック音楽も混じっています)も印象的でした。偽バロック風といっても、例えばプロコフィエフの「古典交響曲」などを思わせるハーモニーを使っているのですが、ルイ14世の時代の豪華絢爛な映像と組み合わされても意外に違和感がなかったのが面白いです。この映画は出来としてはやや不十分なところもありますが、豪華な映像と素晴らしいサントラを愉しむだけでも十分に価値のある作品だと思います。
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パゾリーニの遺作であるこの映画はありとあらゆる吐き気を催すようなものの詰め込まれた壮絶な作品です。1. 地獄の門、2. 変態地獄、3. 糞尿地獄、4. 血の地獄、と4つの部分に分けられていますが、これを見ただけでおおよそ内容は想像付くと思います。単に内容の過激さだけで行けばその手のヴィデオの方が上を行くのでしょうけど、この作品の凄まじさはこのような凄まじい内容にも関わらず芸術作品として存在している、という事実です。どんな吐き気を催すような場面であっても映像は甘美なまでに美しく、ほとんどサロン風のピアノの演奏(ショパンの作品も含まれています)のみに終始するサントラ(モリコーネが担当)も素晴らしい効果を上げています。4人の権力者は本当にわがまま放題、自身の変態趣味を満喫していますが、このキャラクターの描き方も巧みです。
戦争などの異常事態になると、このような悪徳行為が蔓延するというのは話によく聞きますが、それを冷酷なまでにリアルな映像として描き出した、世の中をきれい事ではすませないこのパゾリーニの鬼才には恐れ入るばかりです。
大体の「過激な表現」というものを受け入れられる私ですら、目を覆いたくなるようなシーンが多かったのですが、シュトックハウゼンの「芸術とは日常からの逸脱である」という発言などを思い起こすとこの作品が芸術作品として存在しえる理由も分かる気がします。
ポルトガル人歌手ドゥルス・ポンテスが歌うモリコーネ作品集です。オーケストラはもちろんモリコーネのアレンジ&指揮によるものです。Cinema ParadisoやMetti una sera a cenaなどのモリコーネの代表的な作品も沢山収められています。
いつも通りモリコーネ特有の夢見るようなストリング・セクションは耽美的ですし、管楽器やピアノ、チェンバロなどの楽器の色彩的な使い方は肉感的とでも言いたくなるほどですが、こうした素晴らしいアレンジとドゥルス・ポンテスの歌声の相性は抜群です。
彼女の歌声は、こぶしまわしなど始めの内はちょっとやりすぎかな、などとも思うのですが、聴き進めて行く内に力強く表現力溢れる歌声に次第に圧倒されてきます。
モリコーネはヴェルディやプッチーニを生んだ歌の国イタリアの作曲家なんだな、ということを再確認させられますが、この大きくうねるメロディーを聴いているとガーシュインやコール・ポーターなどがミュージカルのために作曲した歌がスタンダードになっていったように、モリコーネが様々な映画のために書いた曲が新しいスタンダードとして定着していきつつあるな、ということを実感させられます。
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