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SuzanoPanJ.jpg現在のブラジル音楽界で最も重要な音楽家の一人であるマルコス・スザーノによるパンデイロの教則ヴィデオが発売されています。
「Marcos Suzano Presents パンデイロ・マスターへの道」と題されたこのDVD、映像的にはスタジオでマルコス・スザーノがパンデイロ片手に淡々と様々な奏法を説明して行くだけの単調なものですが、彼がこの小さくてシンプルな楽器からどのように多彩な音色とリズムを生み出しているかをじっくりと観察する事が出来る、彼のファンにとっては生唾ものの内容となっています。

パンデイロの基本的な奏法を説明するところから始まり、サンバなどブラジル音楽の基本的なリズムパターンの演奏法から、ドラムンベース、ファンクなど、ブラジル音楽の枠に留まらないマルクス・スザーノならではの超絶的なリズムの演奏法の秘伝に到るまでを惜しげも無く披露しています。キング・クリムゾンなどプログレのリズムに影響を受けた事などを実例を交えて説明しているところも興味深いですが、それがブラジル音楽の伝統的なリズムとどのように掛け合わされ、刺激的なリズムへと変容するかを体感できるのも面白いです。ブラジル音楽の伝統的なリズムそのものも、思っているよりもずっと多彩であることもこのDVDを見て実感する事が出来たりと、単なる楽器の教則ヴィデオの域を超えて、ブラジル音楽の深淵に触れる事が出来ます。

いきなり難しいリズムを早く叩こうと思わずに、楽器の基本的な奏法をゆっくりじっくりと練習しなさい、という他の楽器全般にもいえる至極当たり前のことが何度も力説されていますが、このような天才的なプレイヤーの発言となると非常に説得力があります。

付録としてキーボード、ベースと組んだスタジオ・セッションの様子も収録されています。

hermetomorenacd.jpg70歳のエルメート・パスコアルが40歳以上年齢の離れた新妻アリーネ・モレーナと組んだデュオ・アルバムの新作はかなり大変です。98%二人だけの演奏ですが、数え切れないくらい大量の楽器を駆使しての多重録音に驚かされます。ミキシングも含めて相当細かい仕事をしていることが見受けられますが、音を重ねている割に「隙間」も多く残しているところが独特です。ヴォーカル・パートも多重録音を駆使する事によって最大10声以上の分厚い響きを作っていますが、マニアックなまでに複雑な和声による多重録音コーラスは聞き物です。
ブラジル音楽を基調にして、調性から無調性、楽音からノイズ、規則性と不規則性の領域を自由自在に行き来しますが、全体を覆う「音楽的躁状態」が印象的です。
エルメートの天才的な音楽性は良く知られていますが、親子くらいに歳の違うアリーネがエルメートと対等に渡り合っているのも驚異的です。音楽的な相性もぴったりでエルメートの狂気がそのままアリーネに乗り移ったような印象を受けます。

このアルバムはCDとDVDの両フォーマットで発売されていますが、実はDVDが素晴らしいです。
(ジャケット画像が発売元へのリンクになっています)
スタジオでの多重録音の風景を映像にも収めていて、このDVDではそれぞれのテイクの映像が組み合わされて音源と結びつけられているのです。幾重にも多重録音が行われている場面ではエルメートやアリーネが画面中で増殖するような効果も面白いですし、どのように多重録音が行われているのか資格で確かめる事も出来ます。

アリーネの狂った演奏っぷりもおかしいですし、体中に大量の紙コップ、カスタネットなどをくっつけてタップしながら音を出す無理矢理ぶりにも唖然とします。スタジオに水を張ってのウォーター・ドラムや変な鳴き声のするぬいぐるみ、マウスピースを取り付けたヤカンの演奏映像などが、通常の楽器の演奏の映像と組み合わされるのも痛快です。

圧巻はアリーネがモーツァルトの「夜の女王のアリア」を歌うところでしょう。非クラシック的なアプローチでこの難曲をエキセントリックに歌う様もものすごいですが、モーツァルトの原曲とは全く関係のないフリー・ジャズ的なピアノの多重録音によるエルメートの演奏が刺激的です。
ちなみにこの曲で夜の女王の雰囲気を出すためか、アリーネが黒いマントを羽織って演奏しているのがユーモラスです。

どうでもいいことですが、演奏中のエルメートの寄り目が気になります(汗

coverボサノバ好きな人ならこの人の孤高の素晴らしさはご存知かと思いますが、この東京でのライヴ盤も当然ながら非常にハイレベルな仕上がりになっています。当初はアルバムにして発売する予定はなかったので、たまたま記録用に録っていたDAT録音からマスターを作ったとのことで、音質に関しては最高級ではないですが、会場の雰囲気をよく捉えています。
このライヴの行われたのは東京国際フォーラムAホールというところですが、行ったことのある方ならご存知でしょうけど、とてつもなくバカでかい会場なのです。そこであのボソボソ歌うスタイルでのギターの弾き語り、という会場と音楽のギャップがものすごく高いライヴを行ったのですが、録音を聴く限りでは自分の部屋で気楽に歌っているように聞こえ、曲間の拍手で、ああ、あのバカでかいホールでライヴやっているんだ、と気づくほどです。
逆に言うとそこまで聴衆が集中して彼の演奏に聴き入っていたということですが、ジョアン・ジルベルト自身もそこに大いに感動して今回のアルバム発売を決めたようです。

どうでもいいことかもしれませんが、このアルバムの冒頭、彼が聴衆に向かって一言日本語で「コンバンハ」と語りかけますが、このしゃべり方がもうすでに彼ならではの世界を表現して、思わずそこだけサンプリングして警告音に使いたくなるほどです(笑

ちなみにこのライヴに関して「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載が始まってますが、ライヴの様子がよく伝わってくるのでよろしければこちらもご覧下さい。
ほぼ日刊イトイ新聞 ー ボサノバをつくった男。

coverこのアルバムの邦題は「未知との遭遇の日」、そしてジャケはかなり「ビミョー」なSF風(汗)。でもそんなチープな第一印象とは裏腹に肝心な音楽は最高すぎます。レニーニが掻き鳴らす激しいアコギの音色と、マルコス・スザーノのパンデイロから生まれるパワフルなグルーヴを中心としたサウンドを聞いていると、ジャケどおり心が宇宙空間へと「飛んで」いきます。
もちろんレニーニの曲自体もとてもヒップですし、グルーヴィーな曲の間にひっそりと挟まれたバラードの抑えられた熱情も聴き手の心を捉えます。

そんなこの上なくカッコいいアルバムなのですが、どうしても気になる所が。。。
アルバムの最後の方にレニーニとマルコスの二人だけの演奏による本当にしびれる曲があるのですが、その曲の終わりの方で「マンゲー、マンゲー、マンゲー、マンゲー・・・」としつこいくらいに連呼する箇所があって、そこで思わず我に返ってしまうのです(涙)
歌詞を見てみると「Mangue」と書いてあります。つまりそのまんまですね。。。
空耳アワーに投稿したくなるくらい秀逸なネタです。

cover帯にはBOSSA & BASSなんて書いていますが、まさにこのアルバムのサウンドはそんな感じです。ボサノバとDRUM'N'BASSを掛け合わせたようなサウンドがグルーヴィーででもオシャレな感じです。Sambassimがとにかく異様にカッコいいのですが、さりげなく収められているジョビンのSó tinha de ser com vocêもなにげに凄いです。DRUM'N'BASSのリズムが見事にフィットしていて始めはジョビンの曲だと気付かなかったほどです。そして主役であるヴォーカルのフェルナンダ・ポルトの軽やかな歌声ももちろん素晴らしいです。全体を斜めに区切る階段をうまく配したジャケットのデザインもなかなかいいですよね。

coverガル・コスタがジョビンの作品ばかりを歌ったライヴの録音です。最近この2枚組のアルバムをヘビーローテーションで聴きまくってます。
納涼音楽としてのボサノバではなく、魂の歌としての「熱い」ボサノバをたっぷりと味わえます。ガル・コスタの歌声は力強く魂に満ちあふれ、ジョビンの作品に秘められた情熱的な要素を引き出すことに成功しています。バックバンドのアレンジはジョビンのオリジナルよりやや硬質なリズム、音色でキューバ風なテイストも若干入っていますが、この演奏がなかなか良かったりします。
ジョビンの名曲が畳みかけるように次々と繰り出されますが、24曲飽きることなく一気に聴いてしまいます。Chega de SaudadeやA Felicidadeでは客席を巻き込んでの大合唱となりますが、圧巻はSe Todos Fossem Iguais a Vocêです。3分少しの演奏時間に人生の全てを詰め込んだかのような絶唱に全ての聴衆が熱狂的に答えているのがよく分かります。
ちなみにこのライヴはDVDでも発売されていますが、こちらもお勧めです。

coverこの2枚組のアルバムはジョビンの60歳の誕生日を祝うために制作されました。彼のごく親しいミュージシャンとリラックスした雰囲気の中で録音された演奏なので気張った所が全くなく、彼の音楽の素晴らしさをストレートに楽しむことが出来ます。
ピアノ、ギター、フルート、チェロ、弦楽オーケストラ、女声コーラスといった彼の音楽の定番の音色がお約束通り揃っていて、超メジャーな曲から、レアな作品まで多彩な彼の作曲スタイルを味わうことが出来ます。

ジャケのデザインは全くいいとは思いませんし、変なボックス仕様のケースも扱いにくいこの上ない迷惑なつくりなのですが、ブックレットの写真はとても美しいです。

ジョビンの数あるアルバムの中ではあまり知られていないものだと思いますが、内容はとてもいいです。現在手に入りにくいようですが、ひとりでも多くの人に聴いてもらえればと思います。

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おしらせ

■松平敬 1stアルバム
《MONO=POLI》


 マショーからケージまでの声楽アンサンブル作品を、多重録音によってすべて一人の声のみで演奏したアルバム。
 16声部のリゲティ《ルクス・エテルナ》も収録。

ENZO Recordings
EZCD-10006

プロモーション・ヴィデオ

ご購入は以下まで:
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amazon.co.jp

松平敬 - モノ=ポリ・ひとりの声のための交響曲

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