シュトックハウゼンは、「録音」というメディアを自身の作品の理想的な姿を記録する重要なメディアと考えていて、自身の監修した録音をすべて自分の出版社、シュトックハウゼン出版(Stockhausen-Verlag)で管理していたことはよく知られています(1980年頃以前のドイツ・グラモフォンから出ていた音源もすべて買い取り、自身のレーベルから再発売しています)。
レーベルの都合によって廃盤にされたり、リリースのペースを決められたりすることなく、自由に発売することが可能となり、100枚近くのアルバムが常に入手可能という、作曲家本人、ファンの双方に理想的な環境があるにもかかわらず、シュトックハウゼンの作品のごく一部しか認知されていない理由は、その流通形態にあります。
基本的に出版社から直接通販する前提で販売されているので、一般の店舗にはほとんどこのレーベルのCDが置いてあることはありません。あったとしても、一枚6000円というボッタクリといわれても仕方のない値付けがされているのですが、これは、上記の事情で卸価格が存在しないことが原因で、シュトックハウゼン出版がぼろ儲けをしているわけではありません。
安く手に入れるために、直接通販しようとする場合は、メールで直接注文(10年ほど前まではファックスでした)、料金は国際送金で支払い、というスタイルになります。
中学生程度の英語力でオーダーのメールも出せるのですが、そこが第一のネック、そして決してお手軽とはいえない国際送金の書類書き(一度書き方を覚えればそれほど大変ではないですがでもやっぱり面倒)と割高な手数料(1件2500円)がかなり敷居の高い印象を与え、結局ほとんどの人にとってシュトックハウゼンのCDは遠い存在のまま、そして、一般の店舗で手に入りやすい、ビミョーな演奏のアルバムばかりが聴かれる、という作曲者にとっても聴き手にとっても不幸な状況が続いていました。
せめてクレジットカードで決済できれば、ということは私も以前から、関係者にずっと話をしていたのですが、それが実現する手応えはほとんどありませんでした。
しかし、突然朗報がやってきたのです!
ここはシュトックハウゼンのCDのオンライン・ショップ、アマゾンなどと同じ感覚で必要なものをカートに入れペイパル決済で購入できます。
全タイトル試聴可、というのも嬉しいのではないでしょうか。
似たようなサイトがあるよ、とおっしゃる方がいるかもしれません。しかし、そこのサイトは非公式なものなので、手数料もそれなりに取られて、お世辞にもお得とはいえないものでした。送金、オーダーなどの面倒なことを代行してもらえるくらいのメリットです。
しかし、このサイトはシュトックハウゼン出版の公式のショップですから、値段もほぼ定価で、一枚ものだと23ユーロ(約2400円)という価格が基本になっています。
ただし、日本からオーダーする人は注意してください。
このショップで購入したものは基本的に船便での発送となります。したがってオーダーから商品到着まで2ヶ月ほどかかるということになります。
ではエアメールで送って欲しい場合はどうすればよいか?
サイトの下部に出版社のメールアドレスがありますので(どこのメルアドでもおそらく同じ人から返信が来るでしょう)、ショップで購入後、メールでエアメールで送って欲しい旨伝える必要があります。すると先方からシュトックハウゼン出版のペイパルアカウントに◯◯ユーロ送金してください、というメールが届くので、そこに支払う、という段取りになります。
ちょっと面倒なのですが、これは結局、ショップは使わずにはじめからメールで注文(エアメールで支払いたい旨も伝えておく)すれば話が早い、ということになります。
従って、以前の方式から送金方法のみ変わった、ということになりますが、この違いこそがもっとも重要です。
そして、もうひとつ重要なのが、シュトックハウゼン出版がペイパルのアカウントを取った、ということです。
ショップサイトこそありませんが、ここからでているすべてのもの(Text-CD、楽譜、オルゴールなど)は、同じようにメールで注文、ペイパルで決済、という方法で購入することができます。
いままでは先方にお金が届くまで1週間弱、商品の発送におなじく1週間弱の計2週間弱の日数がかかっていたのが、送金が一瞬になったことで、オーダーから1週間弱で商品の入手ができることになりました。
シュトックハウゼン愛好家にとっては画期的なこのニュース、これを機に、より多くの人がシュトックハウゼンの音楽に触れることを願います。