時として奇跡的な演奏が起こることもある本講習会の受講生コンサート、まちがいなくここ数年のベストが《祈り》の演奏でしょう。

近年はカティンカ・パスヴェーアとアラン・ルアフィの二人によって演じられることの多い本作品、今回は3人での演奏となりました。ロシア人とポーランド人の受講生、そして講師のアラン・ルアフィの3人です。
オーケストラの演奏と完全にリンクした様々な祈りのポーズのジェスチャーを演ずる本作品、初演時はアラン・ルアフィ一人で演じられていましたが、即興的な振り付けではなくきちんと「作曲」されていることを視覚的にはっきりさせるために、二人で演じられることがだんだん通例化していきました。
約20年前にはじめて3人のダンサーによってこの作品が演奏され、そのために特別な舞台装置が作られましたが、今回はその時以来初めての3人による演奏、巨大なその装置もその時以来初めて使用されることとなりました。
初演者のアラン・ルアフィは、初演のために3ヶ月前から小屋に籠って、毎日8時間をこえる超人的なリハーサルをこなし、以来30年以上この作品を演じ続けているベテラン(普段はあまりにもケッサクすぎるオジさんなのですが。。)、その彼の教えを受けた二人の受講生も、今回の演奏の「お許し」が出るまでに、一人は9年、もう一人は5年を費やしました。
何度か演奏の可能性があったものの直前で許可が下りず、苦い思いもした二人ですが(ロシア人の受講生はヴィザが降りずに講習会の参加自体を断念しなくてはならない年もありました)、ついに3人ヴァージョンという特別な形式で本番を迎えることができました。

二人の生徒の動きには、ちょっとした仕草がものすごいパワーを感じさせる師アラン・ルアフィの境地に比べると、さすがに見劣りがする面も否めないものの、そうした欠点を補ってあまりある気迫が、演奏からありありと感じられました。
ここまでの感動は、何度も参加した本講習会の中でも一二を争うものでした。
もともと日本の銀行から委嘱されながらも、なぜか日本初演の実現していない、この作品、初演者アラン・ルアフィの体が自由に動く内に、日本での演奏を成し遂げて欲しいものです。



