シュトックハウゼン新譜、日本初演情報

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シュトックハウゼン出版からの新しい楽譜とCDが届きました。
どちらもKLANG13時間目「COSMIC PULSES」からの派生作品で、19時間目「URANTIA」(ソプラノと電子音楽のために)、20時間目「EDENTIA」(ソプラノ・サックスと電子音楽のために)です。
楽譜も同時に発売されているので、CDと合わせて購入しました。

どちらもキラキラした電子音にソロ奏者の演奏が重なる音楽ですが、カラオケのようなことになることは決してなく両者の一体感が楽しめますし、「COSMIC PULSES」の派生作品、といっても二番煎じになることもなく、両者の作品は似たようなコンセプトを持ちながらも、それぞれ独自のカラーを持っている所が興味深いです。
このシリーズあと6作品あります。残りの作品も早く聴いてみたいですね。

ちなみに「URANTIA」の方は、昨秋の世界初演時にBBCの放送で聞くことができましたが、ネットラジオのチープな音質だったので、当然ながら全く感銘度が違います。

楽譜は、ソロ・パートのみが記譜され、音数もそれほど多い訳ではないので(電子音部分で数え切れないくらいの音群が溢れています)、解説などをのぞく本体の楽譜部分は2〜3ページという慎ましいものですが、「KLANG」のアナリーゼをさんざんやっている私には、一目で作曲法の概要がわかるほど、シンプルな(でも円熟した)構造になっていることが分かりました。
最大の関心事は、あの複雑なポリリズムの電子音楽と生演奏をどうやって同期させるか、ということでした。

どちらの作品も24(+α)のセクションから構成され各セクションの内部のリズムはスペース・ノーテーション風に記譜されています。
セクションの頭を演奏者が耳で把握できるように、電子音にちょっとした細工をしています。
URANTIAの場合は、新しいセクションの直前に電子音楽全体が1秒ごとに、うわん、うわん、うわん、と3〜6回音量が変化し、それが一種のアインザッツとして機能します。
EDENTIAの場合は、セクションの頭の直前にカティンカによるセリフが電子音楽にミックスされているので、それをきっかけに同期できるという仕組みです。
「グリッサンド」や「トレモロ」などというセリフに反応して、サックスがその音形を演奏するのはユーモラスです。

シュトックハウゼン公式HP上の情報:http://www.stockhausen.org/whats_new.html


話は変わって、シュトックハウゼンの旧作の日本初演をやりますので、お知らせします。

■MoVE ヴォーカルアンサンブル演奏会■
2008年3月8日(日)14:00開演
東京オペラシティリサイタルホール
入場料:全席自由4,000円

出演:太田真紀(ソプラノ)、松平敬(バリトン)ほか

北爪やよひ《おとはのうたII》(世界初演)[+堂山淳史(ホルン)]
森田泰之進《でんでらどらごん》(世界初演)[+徳久ウィリアム(リズムヴォーカル)]
坪能克裕《デュオ オペラ NO.3 "I'm a …"》(世界初演)[+神田佳子(マリンバ)]
ロクリアン正岡《南無阿弥陀仏》(世界初演)[大貫浩史(テノール)、安田謙一郎(チェロ)]
シュトックハウゼン《私は空を散歩する》(日本初演)

演奏会チラシ(PDF)

今回演奏する《AM HIMMEL WANDRE ICH 私は空を散歩する》は1972年の作品でアメリカン・インディアンの詩や祈りの言葉などに曲をつけたものですが、45分の大作で、演劇的な要素を多分に含むため、すべてを暗譜して演奏しなくてはなりません。しかも、演奏する前に、自分の演奏用ヴァージョンを作らなくてはならないので、準備が非常に「面倒臭い」です(でも創造的ではあります)。

テンポと音量はそれぞれ12のパターンが作曲者により指定されていて、それぞれを12の各部分に割り振ります。「フォルテ」とか「ゆっくり」などといった単純なものだけでなく、「ppが基調だが時々ff」とか「テンポをすばやく変化させる」という指定もあり、この場合は、「どこで変化させるか」ということも決めなくてはなりません。さらにややこしいのが、楽譜本体にも若干の音量やテンポの指定がある場合があるので(当然そちらが優先)、その組み合わせの効果なども計算しつつ考える必要があります。

さらに、「N」と書かれた部分は任意の名前を呼ぶ、「U」と記された部分は任意の特殊唱法を奏する、という指定もあり、これも事前に決定して、「ネタ」がかぶらないようにしておく必要があります。

あと、それぞれの歌手が一つずつ「小話」を用意して、特定の部分で記譜された音符を挟みながらそれを話すことも要求されます。一人の歌手に要求されているのが「エロティックな話」、もう一人に要求されているのが「童話」です。しかもそれぞれの話の内容に、さらに細かい注文があるため、この話の内容を決めるのも一苦労でした。

その他、鳥の鳴き声を模しながら即興演奏するとか、単音の引き伸ばしを様々なアイデアで即興的に変容させるとか、指定された数音を自由に組み合わせて、そこに決まった歌詞を当てはめて演奏するとか、随所に即興や選択の求められる箇所があり、それが固まるまではリハーサルは難航を極めました(もっとも、まだ完成には遠いのですが。。。)。
意外に難物なのがリズム・パターンが記されずに、「不規則に」とだけ記されている部分です。人間は規則的な方向に流れてしまいやすいので、この不規則なリズムを罠に陥らずに演奏するのは至難の技です。不規則にやっているつもりでも、録音して聞くとうまくいっていなかったり、と試行錯誤の連続です。

かと思えば、発狂しそうになるほど同じフレーズを繰り返す部分があったり(8倍または1/8のテンポになるまで、アッチェレランドまたはリタルダンドしながら繰り返す、という極端なものもあります)、たった2人の歌手だけで、多彩なアイデアが詰め込まれた作品となっています。

その他、公募から選んだ新作も、ヴァラエティに飛んだ作品になっていますので、是非ともお越し下さい。
(私の方でも、こちらのフォームよりチケットお申し込み承っています)。

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さあ、追い込みまくりましょう!!!

心から、宜しくお願い致します(気合)

シュトックハウゼンは何だかんだといいつつ半年以上かけて準備していますから、良いものに仕上げたいですね。

こちらこそよろしくお願いします。

こんにちは。以前私のブログにコメントを頂戴しましたが、こちらへのコメントは初めてです。

EDENTIA、シュトックハウゼンのサクソフォン作品に注目している私としては、気になっていましたが、ついに楽譜とCDが出たのですね!演奏者は、ジュリアン・プティでしょうか?

kuriさん>
ようこそいらっしゃいませ。

演奏はジュリアンではなく、Marcus Weissです。もちろん、彼が初演もやっています。

実は、この演奏を楽譜を追いながら聴いてちょっと気になったことをシュトックハウゼン側に知らせた所、私の指摘が的を得たものだったようで、今後何らかのアナウンス、もしくは楽譜への補足があるかもしれません(まだ調査中につき、詳細は伏せておきます)。

そのやりとりで副次的に明らかになったことなのですが、この作品はもともとオーボエのために計画されていたようですが(初期のスケッチにその記述有り)、Marcus Weissとやりとりする中で計画を変更したとのことです。

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