ジョン・ケージの「プリペアド・ピアノと室内管弦楽のための協奏曲」「ピアノと管弦楽のためのコンサート」といった50年代の名作のライヴ映像をおさめたDVDです。演奏はメッツマッハー指揮のアンサンブル・モデルンでプリペアド・ピアノ独奏はヘルマン・クレッチマー、ピアノ独奏はデヴィッド・チュードアです。チュードアがソリストを務めた方の演奏はMODEレーベルからでているCDと同日演奏(1992.9.4.)ですがテイクが違います(おそらくCD収録のものはゲネプロの時に収録したと思われますが、DVDにはっきりとしたデータの記載がないため詳細不明)。
本DVD前半のケージの音楽についての解説はスキップしても問題のない無難な内容ですが、やはり晩年のチュードアをソリストに迎えた「ピアノと管弦楽のためのコンサート」の演奏は「伝説」であるといっても良い程貴重なものでしょう。
ありとあらゆる内部奏法やピアノの回りに並べ立てたさまざまな飛び道具的な電子楽器(「楽器」というには躊躇するようなものばかりですが。。)を歩き回りながら演奏する姿は必見です。晩年の涅槃の境地に達したようなオーラもものすごいものがあります。それに対するアンサンブル・モデルン(トランペットにはシュトックハウゼン講習会で講師も務めた事もあるヴィリアム・フォアマンがいました)も大健闘です。この曲独自の、両手で時計の針のような動きをする奇妙な「指揮」や、(演奏効果があったりなかったりする)様々な特殊奏法(様々な玩具や、音を出す物体も使用しています)、それに伴う多少の演劇的要素の面白さは映像を伴う事でより面白みを増します。
いい加減な解釈で演奏されがちな不確定性満載のケージのスコアを、非常に入念に準備したであろうことが映像、演奏両面から強く伺える仕上がりになっています。



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