2004年3月アーカイブ

合唱の経験のある人なら誰でも佐藤眞の「大地讚頌」を知っていると思いますが、この曲をジャズ風にアレンジしてシングルCDとして発売していた「PE'Z」に対して作曲者が編曲権を侵害しているとして、東京地裁に販売停止を訴え、それを受けてこのCDを出荷停止にしたそうです。>ソース

法律的には、ある作品を編曲して演奏しようとする場合、JASRACを通すなどして著作権者(作曲者)の了解を得て編曲する必要があるのですが、それは、私の作品をこんなアレンジで演奏するとはけしからん、と差し止める権利が作曲者にあるということです。

ポピュラー音楽では、何らかのアレンジを加えて演奏する、というのがむしろ当たり前なので、こうしたトラブルになることはあり得ないような話ですが、法律的には佐藤氏のとった行動は正当なものなのです。

「PE'S」の意向としては、この曲が大好きでこのようなアレンジを施した訳ですが、それが逆に作曲者の逆鱗に触れたという、ちょっとかわいそうな格好になっています。

編曲権などを含む著作権に関して以下のサイトに分かりやすくまとめられています。
http://www.bass-world.net/copyrightguide/index.html

coverクリスティーネ・シェーファーがタイトルロールを演じたベルクの「ルル」のグラインドボーン・フェスティヴァル・オペラでの公演の模様がDVDで発売されました。「ルル」のDVDというとブーレーズ指揮のものがありましたが、これは特に映像が汚くて10分以上見る気のしないひどい代物でしたから、今回のDVDの発売はとても嬉しいです。そして単にまともな映像が出たというレベルでなく、このプロダクション自体の完成度が非常に高いので、ベルク・ファンはもちろん、多くの皆さんに見て欲しいところです。まず、クリスティーネ・シェーファーのルル役のはまり具合が最高です。多くの男性の運命を狂わせる魔性の美女という役どころにぴったりの彼女の容姿、衣装、演技、そして歌唱のすべてが絶品です。そして同心円上に複雑に回転する舞台や、背面に仕込まれた出入りする不思議な階段のセットも、その場面ごとの変化の付け方も含めて極めて巧妙に考えられています。ほかにも細かく挙げると色々ありますが、とりあえずは「まず見て下さい」というところでしょうか。

最近シュトックハウゼンの初期作品(習作作品以降、コントラプンクテ以前の作品)をよく聴いています。
クロイツシュピール、打楽器トリオ、フォルメルなどは後の作品に比べると特にリズムの面において不十分なところもあるものの、また新たな魅力を発見し楽しんでいます。クロイツシュピールの第3部分のピアノ・パートが突然メロディックになるところとか結構面白いです。プンクテは後にたびたび改訂されていることもあり、実はとても興味深い作品であるというのは「中級」以上のシュトックハウゼン・ファンなら既にご存知でしょう。「点」というタイトルながら、その点がゆらいだり、膨らんだり縮んだり、あるいはメロディックな断片と組み合わされたり、とタイトルのコンセプトからの逸脱が面白いです。

ちょっと困ってしまうのがシュピールです。
これだけはどうしても面白さが分からないのです。そして打楽器の使い方もかなりいけてないと思いますし、数少ないシュトックハウゼンの駄作ではないかと思うのですけど、どうですかね?

江角マキコの根性も相当なものですが(爆)、社会保険庁こそ何をしているのか、という感じですね。
自分ところの広告に使う人が年金に加入しているかどうかも把握できないようなショボーイ管理体制で、国民の納めた年金が適正に運用できているのか、かなり心配ですね。

ソースはこちら↓
http://www.asahi.com/national/update/0322/036.html

シュトックハウゼンの公式ページにシュトックハウゼン自身による「光」の作曲期間に関する質問の回答が掲載されています。
以下に大雑把な日本語訳を紹介します。

「(「光」の中で始めに作曲された)『暦年Jahreslauf』(日本での世界初演でのタイトルはHIKARIでした、のちに『火曜日』の第1幕として若干の改訂が行われました)東京の国立劇場の委嘱作品として1977年の9月に日本で作曲が始められ、同劇場で1977年10月31日に世界初演が行われた。
『日曜日』の『光ー絵LICHT-BILDER』は最後に作曲され2002年12月31日にキュルテンで完成された。この作品はパリのCCMIXスタジオのディレクターのGerald Papeによって委嘱され、ドイツのドナウエッシンゲン音楽祭において2004年10月17日に初演される予定である。

1週間の7つの日を音楽化した『光』は約29時間の音楽作品である。

『木曜日』240分
『土曜日』185分
『月曜日』278分
『火曜日』156分
『金曜日』290分
『水曜日』267分
『日曜日』298分」

カッコ内は私による補則、あと意訳したところもありますので英語の原文も以下のリンクよりご覧下さい。
http://www.stockhausen.org/LICHT_timing.html

私の演奏会のために、清水穣氏、川島素晴氏、そしてシュトックハウゼン氏という豪華メンツによるコメントを頂きましたが、私自身による演奏会のコンセプトの解説のページを作りました。
こちらからどうぞ。

「右眉毛の踊り」(「土曜日」の派生作品・クラリネットのアンサンブル+シンセ+打楽器)と「カプリコーン」(「シリウス」の派生作品・バス独唱+電子音楽)を収録した新譜が発売されました。Hoch-Zeitenの合唱部分のスコア(200ユーロと高額ですが、値段相応の巨大で複雑なスコアです)も出版されています。
詳しくはこちらをどうぞ。

coverわざわざ当サイトで紹介するする必要もないほど「売れている」アルバムですが、内容的にもとても素晴らしいです。ノラのハスキーな声がまずいいですし、カントリー風にまとめられたアレンジと、リバーブを押さえたすっきりしたミックスもとても気持ち良いです。iPodで聴くのにもとても良い感じです。但し、国内盤を買ってはいけません。あの劣悪なCCCDだからです。おまけに値段も高いのです。輸入盤も当初同じようにCCCDのEU盤が店頭に並んでいましたが、最近はタワレコでもHMVでも非CCCDのUS盤が大量に入荷していますのでそちらを買いましょう。渋谷のタワレコなどはケッサクでEU盤とUS盤が同じコーナーで同じ値段で売っています。東芝EMIへの配慮かUS盤には「US盤」と書いたシールが張っているだけで、「CCCDではありません」などという記述はまったくありませんけど、CCCDがどういうものか知っていて、同じ値段で売っていたら絶対US盤買いますよね。

そういえば林檎姫のサード・アルバムはCCCDで結局泣く泣く買ったものの、それまでのアルバムほどに愛着が持てなくなってしまい、結局そのあとに出た「りんごのうた」 (CCCD)も買わずじまいです。DVDは即効で買いましたけどね。

とにかくあのマークを見るだけで憂鬱な気分になるので何とかして欲しいです。

このHPの前書き的な役目の「Tierkreisとは」を少し書き直しました。
あとリサイタルのチケットの取り扱いをしているCNプレイガイドではオンラインからの申し込みもできるので、そのリンクも張ってあります。こちらからもリンクを張っておきます。
松平敬バリトンリサイタル チケット申し込み

ところで、発売日早々チケットの予約を入れて頂いた方がいらっしゃるようで、びっくりするとともに嬉しく思います。

Steffen Schleiermacherのダルムシュタット絡みの作曲家のピアノ曲を集めた2枚目のアルバムが発売されました。アール・ブラウン、カーゲル、プスール、ラッヘンマンの60年代の作品に加えてシュトックハウゼンの「Intervall」という作品が最後に収録されています。
(なぜかCDのトラックリストにも解説にもフランス語のIntervalleという表記がされています)
このタイトルにピンと来る方は相当のシュトックハウゼン・ヲタクだと思いますが、有名な「7つの日より」に続く直感音楽集の続編「来るべき時のために」の中の一曲です。
二人のピアニストの連弾の作品ですが、二人とも目を閉じて演奏するという、独特な作品です。「直感音楽」という名前から想像するよりもはるかに具体的な演奏指示が(テキストで)なされています。

「来るべき時のために」は一部を除いて録音が手に入らないので、早速聴いてみましたが、ちょっとううん、という感じでした。
この作品のスコアを引っ張り出して指示を読んでみるとその原因が分かりました。

基本的に演奏されるあらゆる音を不規則な時間間隔、持続時間、強度で演奏する必要があるのですが、この演奏では、特にリズムの側面において、あまりにもゆっくりとした進行が支配的なのです。つまりシュトックハウゼンの求める(そして彼が他の作品でも非常に好む)「不規則性」が欠如しているために、非常に退屈な演奏に聞えるのです。

Schleiermacherはいわゆる点描的な演奏みたいなものを意図してこのような演奏に仕立て挙げたのかもしれませんが、60年代のシュトックハウゼンの作品を考えると、そのような演奏の方向性には行く訳もないと私は考えます。

さて、明日より私のリサイタルのチケットの発売が開始されます。いきなり爆発的に売れることはないと思いますが、少しでも多くのお客さんに聴きに来て頂きたいと考えています。チラシもなかなかかっこいいデザインに仕上がりました。

coverアルヴィン・ルシエは音の唸りとか微妙な共鳴の効果など、音響の微細な変化を科学か何かの実験のようにストイックに観察するタイプの曲が多く、しばしば「音楽」として聴くのには正直つらいな、と思うものも少なくないのですが(「音楽」というより「音響観察」とでも名付ける方が適切でしょう)、このCDはそうした意味では「音楽的」な要素がやや高いかな、と思います。 特にアルバムのタイトルにもなっている「Still Lives」はそうした傾向が強いです。この作品はルシエの他の多くの作品のような長い演奏時間を必要としない、2〜4分の小品が7曲まとめられたものです。それぞれの小品には「バーベキュー・グリル」や「ハンモック」などものの名前が付けられていていますが、スイープする2つのサイン波のオシレータでこれらの物体の輪郭線を描き(ケージの「龍安寺」と同じ発想です)、ピアノがそこに点を重ねるように単音を付け加えていくのですが、ピアノが音を延ばす間にサイン派はスイープしてピッチを変化させるので唸りが生じる、というルシエお好みの音響効果も得られます。サイン派とピアノの音色の組み合わせが実に美しく、物体の輪郭線をなぞってメロディーラインにする、という機械的な作曲法からなぜか妙にリリックな効果が立ち現れるというのも興味深いです。

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おしらせ

■松平敬 1stアルバム
《MONO=POLI》


 マショーからケージまでの声楽アンサンブル作品を、多重録音によってすべて一人の声のみで演奏したアルバム。
 16声部のリゲティ《ルクス・エテルナ》も収録。

ENZO Recordings
EZCD-10006

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松平敬 - モノ=ポリ・ひとりの声のための交響曲

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